2003 Fiscal Year Annual Research Report
硬X線―光赤外共同観測による「隠された活動銀河」の宇宙論的進化の解明
Project/Area Number |
14740136
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
上田 佳宏 独立行政法人宇宙航空研究開発機構(宇宙研), 高エネルギー天文学研究系, 助手 (10290876)
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Keywords | X線背景放射 / 活動銀河 / サーベイ |
Research Abstract |
これまでに続けてきたX線天文衛星「あすか」中間感度サーベイの北天サンプル(AMSSnサンプル)の光学同定結果をまとめ、ApJ Supplement誌に発表した。このAGNサンプルはX線背景放射の明るい側およそ30%を構成する硬X線選択サンプルとしては過去最大のサーベイ面積を達成しており、他サーベイと比較して世界でも極めてユニークなものとなっている。また、「あすか」によって行なわれた「やまねこ座」領域のディープサーベイの結果を光学同定結果とともにまとめ、ApJ誌に発表した。 本研究の最終目標の一つとして、これらのサーベイ結果を用い、AGNの硬X線光度関数の宇宙論的進化の決定を行なった。「あすか」、HEAO1、チャンドラ衛星による2keV以上の硬X線バンドで検出された完全性の高い247個のAGNサンプルを構築し、あらゆる選択バイアスを排除した解析を行ない、隠されたAGNを含んだ全AGNの吸収量関数と硬X線光度関数を赤方偏移ごとに決定することに成功した。この結果は同時に、X線天文学の最大の謎とされてきたX線背景放射の起源を初めて定量的に解明したもので、その意義は大変大きなものとなった。これらの内容はApJ誌に発表し、ギリシアで行なわれた国際会議「多波長宇宙論」、メキシコで行なわれたワークショップ「AGNサーベイ」で発表した。これらと並行して「すばる」-XMMディープサーベイのコアメンバーとしてX線データの解析を進め、ほぼ最終バージョンのX線カタログを完成した。
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[Publications] Tanaka, Y., Ueda Y., Boller, Th: "ASCA observation of a dip of GRO J1655-40 : evidence for partial covering and its implication"Monthly Notices of the Royal Astronomical Society. 338. L1-L6 (2003)
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[Publications] Miyaji, T., Ishiaki, Y., Ueda, Y., et al.: "ASCA Observation of Unusually X-ray Hard Radio-Quiet QSO Kaz 102"Publications of the Astronomical Society of Japan. 55. L11-L15 (2003)
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[Publications] Akiyama, M., Ueda, Y., et al.: "Optical Identification of the ASCA Medium Sensitivity Survey in the Northern Sky"The Astrophysical Journal Supplement Series. 148. 275-315 (2003)
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[Publications] Ohta, K., Akiyama, M., Ueda, Y., et al.: "Optical Identification of the ASCA Lynx Deep Survey"The Astrophysical Journal. 598. 210-215 (2003)
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[Publications] Ueda, Y., et al.: "Cosmological Evolution of the Hard X-Ray AGN Luminosity Function"The Astrophysical Journal. 598. 886-908 (2003)