2003 Fiscal Year Annual Research Report
磁場を用いた2重量子井戸における励起子の相制御および光学応答
Project/Area Number |
14740184
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
井上 純一 千葉大学, 先進科学教育センター, 助手 (90323427)
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Keywords | 誘電分極 / 仮想束縛状態 |
Research Abstract |
本研究は,磁場のかかった2重量子井戸に生成された励起子が示す多彩な現象を模索しようとするものである.この励起子の特徴としては,光励起された電子と正孔が異なる井戸に閉じこめられていおり,実質的に異なる電荷をもつ2点電荷からなる双極子を形成している点にある.これが格子状に分布している場合の光学応答を昨年度検討した.これに引き続いて本年度の成果として,この系が現在精力的に研究の行われているいくつかの特徴的な他の系と相似であることを見いだし,そこでの共通言語となる有効理論の構築を行った.具体的には誘電体球を周期的に並べたフォトニック結晶において,誘電体球内の励起が光仮想束縛状態を形成する条件を明ちかにし,この場合には各誘電体内の励起は点電荷のつくる多重極子でることを用いた. この成果は,従来直感的な描像のみに基づき,微視的な議論無しに信じられていた概念に,グリーン関数法を適用して導出を行ったものであり,その過程で,描像の成立する条件も自ずと明らかになった. まず,光仮想束縛状態と誘電体球外部の自由に伝播する光の場との結合係数を解析的に求めた.これにより,ふぁのモデルとして知られる,「局在」と「広がり」の結合という物理学における広範な描像の枠組みに当てはまることを示した.次にこの模型から出発し,光仮想束縛状態同士の有効相互作用を,光の自由度を射影操作によって消去するという方法により求めた.これは,元の問題に戻れば,2重量子井戸中の励起子間相互作用に対応する.その相互作用は短距離相互作用であって,多重極を特徴づける各運動量の大きさによって,相互作用のべき依存性が異なることがわかった.
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Research Products
(1 results)