2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740308
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
山口 亮 国立極地研究所, 南極隕石研究センター, 助手 (70321560)
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Keywords | 玄武岩質隕石 / ユークライト / メソシデライト / 熱史 / 小惑星 / 冷却速度 / 熱変成作用 / 衝撃変成作用 |
Research Abstract |
メソシデライト(ニッケル鉄と珪酸塩の混合物)の玄武岩質包有物は、ユークライトに岩石学的に類似している。これまで、これら二つの隕石は、別々の小惑星起源であると考えられていた。本研究では、最近見つかったドファー007と呼ばれる隕石が、これらの両方の性質を持つユニークな隕石であることを発見した。ドファー007は、ある種のユークライトのように岩石(珪酸塩)のポリミクト角レキ岩であり、その中の主要な岩石片の岩石組織や希土類元素の含有量は集積岩ユークライトに非常に類似することを明らかにした。この岩石片に含まれる輝石やテーナイトの鉱物学的特徴から、この隕石は高温(〜1000℃)で急冷(>10℃/yr)され、また、低温(〜700-300℃)で徐冷(1-10℃/Ma)されたことがわかった。また、珪酸塩部分に、通常ユークライトにはみられないテーナイト(鉄ニッケル相)が含まれ、また、普通ユークライトの数十倍の親鉄元素を含有する。これらの特徴は、メソシデライトものに類似する。以上の結果から、ドファー007隕石の母天体は、ユークライトやメソシデライトの母天体に似た発達史を形成した可能性があることがわかった。 ほとんどすべての玄武岩質ユークライトは、熱変成作用を受け、この熱変成作用は母天体地殻形成中に起こったと考えられている。初期に噴出した玄武岩が後期に噴出した玄武岩によって埋没し、埋没した玄武岩は、内部からの熱で変成作用を受けたと考えられる。本研究では、変成度の異なる3つのユークライトの全岩組成と、過去の文献データーと比較し、変成度と全岩組成の比較を行った。現在のところ、明確な関連性は見られなかった。これは、ユークライト隕石の岩石学的成因が複雑であったこと、また、変成度の解釈(変成温度・期間・衝撃変成作用の影響など)に問題があったためであると考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] A.Yamaguchi, T.Sekine, H.Mori: "Shock experiments on a preheated basaltic eucrite"High-pressure shock compression of solids V ; Shock chemistry with applications to meteorite impacts(Springer-Verlag). Chapter 2. 29-46 (2002)
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[Publications] A.Yamaguchi, T.Setonayangi, M.Ebihara: "Origin of a recrystallized magnesian eucrite, Dhofar 007"Antarctic Meteorites. XXVII. 177-179 (2003)
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[Publications] T.Setoyanagi, M.Ebihara, A.Yamaguchi: "Chemical compositions of three Antarctic monomict eucrites A87272, A881467, and A881747"Lunar and Planetary Science. XXXIV. 1593 (2003)
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[Publications] A.Yamaguchi, T.Setoyanagi, M.Ebihara: "An anomalous eucrite, Dhofar 007, and a possible genetic relationship with mesosiderites"Lunar and Planetary Science. XXXIV. 1377 (2003)