2002 Fiscal Year Annual Research Report
アルキリデンアミノメタル種の生成と複素環式化合物への応用
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14740341
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北村 充 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (10313199)
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Keywords | オキシム / ヒドラゾニウム塩 / パラジウム / Heck反応 |
Research Abstract |
1)1-アザアズレンの合成 これまでにO-置換γ,δ-不飽和ケトオキシムに塩基存在下,Pd(0)を作用させるとHeck型反応(アミノ-Heck反応)が円滑に進行し,ピロール類を収率よく与えることがわかっている。そこで,この反応を,1-アザアズレンの合成に応用した。1-アザアズレンは古くからその物性に興味が持たれており,最近ではその生理活性が注目されている化合物群であるが,これまでに知られている合成法は限られていた。シクロヘプタトリエニルメチルケトンのオキシムにPd(0)触媒を作用させたところ,期待通りアミノ-Heck反応が進行し,対応する環化生成物を得た。このものをMnO_2で処理することにより,所望のアザアズレンを得ることができた。この手法により,種々の2,3位置換1-アザアズレンを合成することができた。 2)ヒドラゾニウム塩の酸化的付加とそのアミノ-Heck反応への応用 これまでの検討によりオキシムはPd(0)へ酸化的付加し,アルキリデンアミノパラジウム(II)を生成することが明らかになっている。オキシムとヒドラゾニウム塩との類似性に着目し,ヒドラゾニウム塩とPd(0)との反応を検討したところ,ヒドラゾニウム塩のN-N結合がPd(0)錯体への酸化的付加によって切断されることを見出した。γ,δ-不飽和ケトンのヒドラゾニウム塩にPd(0)触媒を作用させるとアミノ-Heck型反応が進行し,ピロールが得られた。この場合は,ヒドラゾニウム塩の酸化的付加によりアミンが生じるため,塩基を添加する必要はない。また,対アニオンの効果は顕著であり,ヨウ化物イオンが対アニオンの場合は反応は遅く,ピロールの収率も低い。これに対してテトラフルオロホウ酸塩が高収率でピロールを与えた。おそらく,中間のアルキリデンアミノパラジウム種がカチオン錯体となり,オレフィン部が挿入しやすいためであろう。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Koganemaru, Y., Kitamura, M., Narasaka, K.: "Synthesis of dihydropyrrole derivatives by copper-catalyzed cyclization of γ,δ-unsaturated ketone O-methoxycarbonyloximes"Chem. Lett.. 8. 784-785 (2002)
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[Publications] Tsutsui, H., Kitamura, M., Narasaka, K.: "Synthesis of pyrrole derivatives by palladium-catalyzed cyclization of γ,δ-unsaturated ketone O-pentafluorobenzoyloximes"Bull. Chem. Soc. Jpn.. 75(7). 1451-1460 (2002)
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[Publications] Kitamura, M., Chiba, S., Saku, O., Narasaka, K.: "Palladium-catalyzed synthesis of 1-azaazulenes from cycloheptatrienylmethyl ketone O-pentafluorobenzoyl oximes"Chem. LeLt.. 6. 606-607 (2002)