2002 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒による小員環化合物へのプロ求核体の付加反応の開発
Project/Area Number |
14740393
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 達 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00333899)
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Keywords | パラジウム触媒反応 / プロ求核体 / 小員環化合物 / メチレンシクロプロパン / メチレンアジリジン / ケトン / 複素芳香環化合物 |
Research Abstract |
私は、小員環化合物であるメチレンシクロプロパン化合物とパラジウム錯体から触媒的に発生するパラダシクロプタン錯体が高い反応性を有することに着目し、種々の不活性な炭素水素結合の活性化反応へ応用した。 ケトン化合物のα位の炭素水素結合がパラジウム触媒の存在下メチレンシクロプロパン化合物と反応し、αアリルケトン化合物が良好な収率で得られることを見出した(Tetrahedron Letters 2002,43,2903-2907に掲載)。従来のケトンのα位の選択的なアリル化にはα水素を化学量論量の塩基により活性化することを必要とした。本反応では反応活性種への変換を必要とせず直接的にケトンのα位に炭素炭素結合を構築することが可能である。 また、メチレンシクロプロパン化合物のパラジウム触媒反応において複素芳香環化合物がプロ求核体として作用し、α位が選択的にアリル化されたヘテロ環化合物が高収率で得られることを見出した(J. 0rg. Chem. 2002,67,3445-3449に掲載)。複素芳香環化合物のプロ求核体としての反応性はフラン>チオフェン〜チアゾール(5位)>チアゾール(2位)〜ピロールであることが明らかになった。 小員環化合物としてメチレンアジリジン化合物に対して炭素プロ求核体がパラジウム触媒反応により付加することを見出した(Tetrahedron Lett. 2002,43,9625-9627に掲載)。従来のメチレンアジリジン化合物への酸性条件での付加反応はアジリジン環の開裂を伴うものであったが、今回開発した反応は開環を伴わず高度に修飾されたアジリジン化合物を合成することが可能である。また、従来のパラジウム触媒によるプロ求核体の付加反応ではπアリルパラジウム中間体の形成が反応推進力となっていたが、メチレンアジリジン化合物の反応においてキレート効果がプロ求核体の付加の推進力となりうることを示唆している。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Drexel H.Camacho, Itaru Nakamura, Byoung Ho Oh, Shinichi Saito, Yoshinori Yamamoto: "Palladium-catalyzed addition of ketones to alkylidenecyclopropanes"Tetrahedron Letters. 43・16. 2903-2907 (2002)
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[Publications] Itaru Nakamura, Yoshinori Yamamoto: "Transition Metal-Catalyzed Reactions of Methylenecyclopropanes"Advanced Synthesis and Catalysts. 344. 111-129 (2002)
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[Publications] Itaru Nakamura, Amal I.Siriwardana, Shinichi Saito, Yoshinori Yamamoto: "Addition of Heteroaromatics to Alkylidenecyclopropanes Catalyzed by Palladium"Journal of Organic Chemistry. 67・10. 3445-3449 (2002)
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[Publications] Byoung Ho Oh, Itaru Nakamura, Yoshinori Yamamoto: "Palladium-Catalyzed Hydrocarbonation of Methyleneaziridines with Carbon Pronucleophiles"Tetrahedron Letters. 43・52. 9625-9627 (2002)