2003 Fiscal Year Annual Research Report
600℃の高温と強いγ線照射に耐える流体式情報処理集積回路の研究
Project/Area Number |
14750041
|
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
高尾 英邦 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (40314091)
|
Keywords | 信号処理回路 / 微小電子機械システム(MEMS) / マイクロマシン / 流体式集積回路 / 超高温環境 / 放射線環境 / Fluidics / マイクロバルブ |
Research Abstract |
人類が近づくことのできない過酷な宇宙空間や原子炉内外における作業機械を将来開発するならば、500℃以上の超高温や強烈なγ線など、非常に厳しい環境下で動作する情報処理回路が必要である。本研究は、電子の代わりに流体を信号伝達媒体とし、電気-流体間の相似性を利用した集積回路をマイクロマシン技術で形成して、極限環境おける情報処理を可能とするものである。本年度は、機能的流体集積回路の動作特性の究明と、安定した耐環境性能を達成するために必要なデバイス設計技術の確立に重点をおいて下記のとおり研究を遂行した。 1.流体式集積回路の動特性評価 流体式集積回路の動作時において、信号に相当する圧力、流量が時間的に変化した場合の回路の動特性は、マイクロ構造体の機械共振に依存すると考えられる。そこで、有限要素法にてモーダル解析を実施し、流体式集積回路においてトランジスタに相当するマイクロバルブの動特性解析を行った。その結果、バルブの最大動作速度はそれ自身のダイヤフラム構造が有する共振周波数とその高次モードに極めて強く依存することが判明し、いくつかのキーパラメータを絞り込むことができた。その結果、流体式回路の高速化を実現するにあたっての設計上における重要な技術指針を得た。 2.環境変化による変動を最小化するマイクロバルブ素子の構造解明 流体式集積回路は、過酷な環境下における動作が要求されている一方、その動作特性についても激しい環境変化に対して高い安定性が求められる。この特性変動は、シリコン等の構造材料の機械物性に加えて、バルブ構造そのものが大きな影響を有すると考えた。各種の材料物性をもとに、有限要素法解析ならびに実素子の製作・評価を行って、特性変化の比較を行った。解析の結果、バルブ素子の特性にもっとも大きな影響を与えるのはゲート部の流体流出側であり、その部分の設計形状によって、外乱安定性が大きく変化することが判明した。その傾向は実素子の比較測定結果ともよい一致を示しており、流体式集積回路の特性を安定化する上で不可欠な知見を得ることができたと考える。 これらの研究成果から、流体式集積回路の要素となるマイクロバルブの最適設計を行うことが可能となった。今後は、大規模流体集積システムの実現という次なるステップへと研究を進める予定である。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] H.Takao, F.Ina, T.Douzaka, K.Sawada, M.Ishida: "SOI-CMOS Precision Front-End Amplifier for Wide Rome and High Temperature Operation of Smart Microsensors"Sensors and Actuators A (Physical). (in print). (2004)
-
[Publications] M.Ishida, H.Takao: "Microsensor Systems for High Temperature Environment Based on SOI Technology"Journal of The Surface Finishing Society of Japan. Vol.55 No.1. 10-16 (2004)
-
[Publications] H.Takao, K.Sawada, M.Ishida: "A Design Methodology and Experimental Verification of Microvalve Integrated Circuits"2004 National Convention Record of IEE Japan. Vol.3. 191 (2004)
-
[Publications] K.Lee, H.Takao, K.Sawada, M.Ishida: "Analysis and Experimental Verification of Thermal Drift in a Constant Temperature Control Type Three-Axis Accelerometer for High Temperatures with a Novel Composition of Wheatstone Bridge"The 17th IEEE International Conference on Micro Electro Mechanical Systems (IEEE MEMS2004). 241-244 (2004)
-
[Publications] H.Takao, M.Ishida: "Micro Fluidic Integrated Circuits for Signal Processing Using Analogous Relationship between Pneumatic Microvalve and MOSFET"IEEE/ASME Joint Publication Journal of Microelectromechanical Systems. Vol.12 No.4. 497-505 (2003)
-
[Publications] K.Lee, H.Takao, K.Sawada, M.Ishida: "Analysis of Thermal Drift of A Constant Temperature Control Type Three-Axis Accelerometer for High Temperatures"IEEJ Transactions on Sensors and Micromachines. Vol.123 No.12. 583-587 (2003)