2002 Fiscal Year Annual Research Report
臨界点近傍における圧縮性多成分系流体の特異的熱輸送に関する研究
Project/Area Number |
14750152
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中納 暁洋 独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー利用研究部門, 主任研究員 (50344114)
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Keywords | 超臨界 / 臨界点 / 空気 / 窒素 / ピストン効果 / 熱物質移動 / シャドウグラフ / レーザーホログラフィー |
Research Abstract |
流体の臨界点近傍では比熱や圧縮率などの熱物理学量が発散するため、特異な熱的振る舞いを示す。単成分系流体の臨界点近傍における熱輸送に関しては、これまで数多くの研究がなされているが、多成分系流体についてはほとんど報告されていない。本研究の目的は多成分系の流体である空気の、相変化プロセスや最大露点近傍(臨界点近傍)での熱輸送現象を解明することにある。 本年度はシャドウグラフ法を用いて、空気の気液二相共存状態から超臨界状態への相変化過程を調べると共に、実験セル底部から加熱を行ったときの熱輸送現象について調査を行った。相変化過程観察より、空気の場合も単成分系流体と同様のプロセスを経て相変化することが分かった。更に、空気の場合は単成分系の窒素に比べ、広い温度・圧力範囲で臨界淡白光現象が現れることが分かった。次に、レーザーホログラフィー干渉計を用いて、超臨界空気中で現れる熱輸送現象を捉える可視化実験を行った。ここでは自然対流の発生を抑制させる温度分布を形成させ、実験セル底部に置いた平板ヒーターからステップ的に定常加熱を行う試験を実施した。その結果、ピストン効果の存在を示唆する実験結果が得られた。ピストン効果とは熱エネルギーが流体中を音波のように伝わる現象で、臨界点近傍における流体の高圧縮性と低熱拡散性により発現する特異な熱輸送現象である。空気も圧縮性流体であることからピストン効果による熱輸送が行われると考えられる。また、濃度変化によると考えられる大きな密度勾配の形成を確認した。現在、これらの現象をより明確に捉えるため、対流の影響を大幅に抑制した実験セル天井部からの加熱試験を実施している。 数値解析については窒素の2次元熱現象解析コードを完成させ、ピストン効果に関する計算を行っている。一方、空気に関しては濃度変化を伴うため、単成分系としての取り扱いが不適当であることが分かった。
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Research Products
(1 results)