2003 Fiscal Year Annual Research Report
臨界点近傍における圧縮性多成分系流体の特異的熱輸送に関する研究
Project/Area Number |
14750152
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中納 暁洋 独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー利用研究部門, 主任研究員 (50344114)
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Keywords | 超臨界 / 臨界点 / 最大露点 / 空気 / ピストン効果 / ソレ効果 / 酸素分離 / レーザーホログラフィー |
Research Abstract |
流体の臨界点近傍では比熱や圧縮率などの熱物理学量が発散するため、特異な熱的振る舞いを示す。本研究の目的は多成分流体である空気の、最大露点近傍(臨界点近傍)において発現する諸熱物理学現象を解明することにある。ここでは、レーザーホログラフィー干渉計を用いて、超臨界空気中で発現する諸現象を捉える可視化実験を行っている。昨年度行った実験より、最大露点近傍の超臨界空気中の上下において温度差を設けると、単成分系の流体では現れない大きな密度勾配が形成されることが分かった。本年度、対流の影響を大幅に抑制した実験セル天井部からの加熱試験を行い、詳細にこの現象を捉えることができた。調査の結果、この密度勾配は、温度変化に伴う濃度分布の変化により形成されたもので、「ソレ効果」と呼ばれる現象であることが分かった。更に、多成分流体の臨界点近傍では、このソレ効果が顕著に現れることが判明した。なお、この実験についてまとめた結果を低温工学誌上において発表した。 次に、多成分系の空気においても相変化を行う際、臨界淡白光現象が観測できる。このことは空気を構成する分子がクラスター化していることを意味する。この時、磁場を印加すれば常磁性体の酸素を選択的に分離できると考えた。磁気力が体積力として働く点に着目した。今回、金属製(材質:Permendur49 [Co49/Fe49/V2])の棒を挿入した実験セルを作成し、レーザーホログラフィー干渉計を用いた超臨界空気からの酸素の磁気分離に関する可視化実験を試みた。この装置は、実験セルの外側に突き出た棒の一端にネオジウム磁石を着脱させることにより、磁場のON・OFFを行う仕組みを有する。実験の結果、磁場勾配の大きな所に酸素が強く引きつけられる様子を可視化することができた。なお、米国において開催された学術会議CEC・ICEC2003において、この実験結果を発表した。
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Research Products
(1 results)