2002 Fiscal Year Annual Research Report
フェライトめっき膜による次世代モバイル機器用電波吸収層の開発と高広帯域化
Project/Area Number |
14750227
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松下 伸広 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (90229469)
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Keywords | 電波吸収層 / 伝導ノイズ抑制体 / フェライトめっき膜 / スピンスプレーフェライトめっき / 高広帯域化 |
Research Abstract |
スピンスプレーフェライトめっき法により高い複素透磁率を示すNi-Znフェライト膜を形成するための作製条件の最適化を図ると共に磁気特性・透磁率特性の異なる磁性層を重ねた堆積膜に関する基礎実験を行った。 まず、作成条件の最適化であるが、膜の組成がNi_xZn_yCo_zFe_<3-x-y-z>O_4である場合にCo組成z=0.03-0.04において、Fe^<2+>ならびにCo^<2+>に起因した異方性が打ち消し合い、保磁力H_cが30→15Oeと減少し、透磁率の実数成分μ_r'が40→120と大幅に向上した。この微細なCo置換量の制御は設備備品として購入した薬液マスフローコントローラにて行って初めて制御が可能となった。さらに飽和磁化を減少させない程度にZn組成をy=0.6程度まで増加させると膜が軟磁性化し、H_cは9Oeまで減少し、μ_r'は200まで向上した。ここで膜堆積中に磁界を印加すると、その方向に磁気異方性が誘導されると共に、μ_r'が最大で260まで増加することが明らかとなり、100MHzから1GHzの広い周波数範囲において透磁率の虚数成分μ_r"が100以上と、ノイズ抑制体として優れた特性を得ることに成功した。 積層膜の予備実験として、ガラス基板上に堆積された透磁率μ_r'とμ_r"ならびに磁気共鳴周波数f_rの異なるフェライト膜を重ねて、透磁率特性の評価を行った結果、複素透磁率の虚数成分のプロファイルは、それぞれの層厚比によっても変化し、これがノイズ抑制体を設計する際のパラメータの一つとなりうることが示唆された。次に実際に共鳴周波数の異なるフェライト層を直接積層したサンプルでは、磁性層間の磁気的な相互作用が存在するため、明瞭な特性制御が困難であったが、Co置換量z=0.16の層を100nm堆積した後に、透磁率の高いCo置換量z=0.03-0.04の層を600nm堆積すると、μ_r'の絶対値は同程度であるものの、μ_r"プロファイルの立ち上がりに要する周波数帯域幅が狭くなり、ノイズ抑制体として動作する周波数の明確化を図れる可能性が示唆された。 次年度は本年度得た結果を元に、さらに複素透磁率特性の高広帯域化を図るために、中間層を用いた積層型ノイズ抑制層(電波吸収層)を作製し、伝導ノイズ抑制効果を評価する
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Nobuhiro Matsushita et al.: "Ni-Zn ferrite films with high permeability (μ'= 30,μ'' = 30) at 1 GHz prepared at 90℃"Journal of Applied Physics. 91[10]. 7376-7378 (2002)
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[Publications] Nobuhiro Matsushita et al.: "High rate, low-temperature (90℃) deposition of Ni-Zn ferrite films highly permeable in Gigahertz range"IEEE Transactions on Magnetics. 38[5]. 3156-3158 (2002)
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[Publications] Nobuhiro Matsushita et al.: "Ni-Zn-Co ferrite films prepared at 90℃ having μ'=30 at 3GHz"IEEE Transactions on Magnetics. 38[5]. 3111-3113 (2002)
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[Publications] 松下伸広 他3名: "磁気共鳴周波数が1GHzを越えるNi-Znフェライトめっき膜"日本応用磁気学会誌. 26[4]. 475-478 (2002)