2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14750329
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
伊達 章 独立行政法人通信総合研究所, 情報通信部門・社会的インタラクショングループ, 研究員 (60322707)
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Keywords | 確率的モデル / 隠れマルコフ確率場 / 動的計画法 / 階層的情報表現 / 構造的パターン認識 / 部分-全体問題 / 画像修復 / ツリー型マルコフ確率場 |
Research Abstract |
本研究は,階層的マルコフ確率場(MRF)に現実世界の規則性を埋め込むことを目的としている.初年度たる平成14年度において得られた具体的な成果は,以下の通りである. 第一に,ツリー型MRFを用い,単純結合領域を生成する画像のモデルを構築した.神経回路網モデルやマルコフ確率場を用いて認識システムの構築をおこなう際,重要な課題は,外界の規則性を的確に表現できる認識対象のモデル(情報表現)の設計である.構築したモデルを用いて,画像修復の計算機実験をおこなった.ノイズが含まれていても,対象物体およびノイズの確率モデルがしっかりと構築されていれば,もとの画像を復元することが容易にできることを示し「階層的なモデルベースによる手法」の有効性を検証した. 第二に,同一のモデルを用いて,生物の視覚系における「部分-全体問題」の理解を試みた.具体的には,逆行性結合を切断する計算機実験をおこない,画像の修復度が極端に悪くなることを示した.主観的ではあるが,本モデルは,現存するモデルの中では(1)部分と全体の関係,(2)逆行性結合の意味,を直感的に最もよく理解できるモデルであると考えている. ツリー型MRFへの情報の埋め込み方次第では,いろいろな知覚現象が説明できると考えている.ただし,現実世界のような複雑な視覚世界を生成する確率モデルは,このままではできそうにない.そのため,より上位の文法システム(文脈依存文法)を用いた応用研究を検討中である.
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Research Products
(1 results)