2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14750436
|
Research Institution | Oita National College of Technology |
Principal Investigator |
東野 誠 大分工業高等専門学校, 都市システム工学科, 助教授 (90311117)
|
Keywords | 底泥 / 物質移動 / 水環境 / 溶存酸素 / 生物過程 / SOD / 濃度境界層 |
Research Abstract |
本研究では,湖沼・貯水池等の水域において,底泥直上の水柱から底泥表面へと移動する溶存酸素(DO)のフラックス(SOD)に関する検討を行った。研究代表者は,従来,水・底泥境界面近傍のDO濃度分布,およびSODに及ぼす底泥直上の流れの影響について検討を行い,SODを底泥表面直上の水流速と底泥内部でのDO消費速度の関数としてモデル化した。今回,これまでの研究を更に発展させて,底泥内部での微生物の増殖に伴うDO消費過程を詳細な検討結果に基づいて定式化し,これを従来の境界層モデルに組み込んだ。このモデルによって,底泥直上の環境条件の変化に伴う底泥内部の生物過程の応答,および水・底泥境界面近傍のDO濃度分布とSODの変化特性を調べるとともに,モデルの妥当性を微小電極を用いたSODの実験値との比較により検証した。 SODが流れの影響を受けるのは,水・底泥境界面直上に形成される濃度境界層の厚さが流れの影響を受けて変化するためである。モデルによるシミュレーションより,SODは界面直上の濃度境界層でのDO移動速度と底泥内部での微生物の増殖に伴うDO消費速度の両者に規定されることを明らかにした。両者のどちらか遅い方が律速となってSODが決まる。濃度境界層厚さは界面直上の水流速の影響を受けて大きく変化する。一方,底泥内部へのDO浸透深さは,流れの影響を殆ど受けない。底泥内部での微生物増殖速度は,界面直上の流速が大きい(濃度境界層厚さが小さい)とき,底泥の有機物や栄養塩含有量に依存する。他方,流速が小さい(濃度境界層厚さが大きい)ときには,微生物増殖速度の流速依存性は大きくなる。モデルによるSODの推定値を実験値と比較した結果,モデルは実験結果を良好に再現することを確かめた。本モデルは,現在開発が進められている湖沼・貯水池等の水質モデルと対応させることで,水域において水質を高精度に予測することが可能である。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 東野 誠, ステファン, H.G.: "底泥直上の環境条件の変化に伴うSOD応答"水工学論文集. 第47巻. 973-978 (2003)
-
[Publications] Higashino, M., Stefan, H.G, Gantzer, C.J.: "Periodic Diffusional Mass Transfer near Sediment/Water Interface : Theory"Journal of Environmental Engineering, ASCE. Vol.129, No5. 447-455 (2003)
-
[Publications] Higashino, M., Stefan, H.G.: "Diffusional Mass Transfer across a Sediment/Water Interface of Finite Length"Proc.of 30th Congress of the International Association for Hydraulic Research. ThemeA. 225-230 (2003)
-
[Publications] Higashino, M., Gantzer, C.J., Stefan, H.G.: "Unsteady Diffusional Mass Transfer at the Sediment/Water Interface : Theory and Significance for SOD Measurements"Water Research. Vol.38. 1-12 (2004)
-
[Publications] 道奥康治, 金井健史, 東野 誠: "傾斜堆積面からの嫌気的溶出により発生する化学成層流と栄養塩溶出・酸素消費の解析"土木学会論文集. No.754/II-66. 75-90 (2004)
-
[Publications] 東野 誠: "底泥による溶存酸素消費過程における濃度境界層発達の影響"水工学論文集. 第48巻. 1351-1356 (2004)