2002 Fiscal Year Annual Research Report
塩基性多糖を基質とする新規な多糖リアーゼカテゴリーの提案
Project/Area Number |
14760043
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
武田 穣 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 講師 (40247507)
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Keywords | 有鞘細菌 / Shaerotilus natans / 鞘 / 多糖 / Paenibacillus koleovorans / 構造解析 |
Research Abstract |
有鞘細菌Spherotilus natansの鞘をヒドラジン分解して鞘多糖を調製した。平成14年度の目的は鞘多糖の構造を確定することである。 メチル化分析の結果、鞘多糖からは1,4,5-トリ-O-アセチル-2,3,6-トリ-O-メチルヘキシトール、1,4,5-トリ-O-アセチル-3,6-ジ-O-メチル-2-N-メチルアセトアミド-2-デオキシヘキシトールおよび1,3,5-トリ-O-アセチル-4,6-ジ-O-メチル-2-N-メチルアセトアミド-2-デオキシヘキシトールが約1:3:1のモル比で検出された。ここにおいて、鞘多糖は直鎖のヘテロ塩基性多糖であることが明らかとなった。細菌由来のヘテロ多糖は通常、オリゴ糖の繰り返し単位から構成されている。事実、鞘多糖は特異的分解酵素(Paenibacillus koleovoransより分泌される)の作用で一つのオリゴ糖に分解されることがわかっている。この繰り返し単位と思われるオリゴ糖の還元末端に対して還元アミノ化反応によって疎水性タグを導入し、逆相HPLCで精製した。その後、FAB-MS分析を行ったところ、非還元末端側からグルコース-ガラクトサミン-ガラクトサミン-ガラクトサミンの配列が確認された。グルコース残基の非還元末端にはさらに何らかの残基が存在していたが特定はできなかった。特異的分解酵素による鞘多糖の分解に伴って、精製産物であるオリゴ糖に不飽和結合が導入されることが判明しているので、おそらくグルコース残基の非還元末端には不飽和糖残基が存在するものと予想された。鞘多糖全体の糖組成がグルコース:ガラクトサミン=1:4であることを考慮すれば、その不飽和糖残基はガラクトサミン由来と考えられる。すなわち、鞘多糖の繰り返し単位はガラクトサミン-グルコース-ガラクトサミン-ガラクトサミン-ガラクトサミンであろうとの結論に至った。以上のような情報を基にNMR解析を行った。まず一次元プロトンNMRを行い、5つのアノメリックプロトンシグナルを観測した。これによって繰り返し単位は5残基であるという仮説が実証された。さらに、それぞれのアノメリックプロトンシグナルの結合定数より2つのαアノマーと3つのβアノマーが存在することもわかった。^1H-^1H COSYで各糖残基の2位プロトンの化学シフトを特定し、続いて^1H-^1H TOCSYで、2位以降の帰属を可能な限り行った。TOCSYにおいて4位以降の帰属が困難だった4つの残基がガラクトサミン残基と考えられた。次に^1H-^1H NOESYによって各残基間の結合位置を確認した。重水に対する多糖の溶解度が低く、異核(^<13>C-^1H)の2次元NMR分析には至らずシグナルの完全帰属はできなかったものの、鞘多糖の構造は以下のような繰り返し単位からなる新規な塩基性多糖であることが確認された。 →4)-β-D-GalNAcp-(1→4)-β-D-Glcp-(1→3)-β-D-GalNAcp-(1→4)-α-D-GalNAcp-(1→4)-α-D-GalNAcp-(1→
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