2002 Fiscal Year Annual Research Report
多層モデルを用いた植生面上における熱・水・二酸化炭素交換過程の解明
Project/Area Number |
14760098
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小杉 緑子 京都大学, 農学研究科, 助手 (90293919)
|
Keywords | 多層モデル / 熱・水・二酸化炭素フラックス / 乱流変動法 / 個葉ガス交換 / 土壌呼吸 / 群落構造 |
Research Abstract |
様々な植生面の熱・水・二酸化炭素フラックスがどのような要因によって決定されその場所の特性値となるのかについて解明するため、いくつかの植生面で実際にフラックスおよび主要なフラックスの決定要因について観測を行うとともに、観測結果に裏打ちされた多層モデルをツールとして比較解析を行うことによって、植生面上における熱・水・二酸化炭素フラックスの決定要因とその寄与度、またキーパラメータの変動幅や変動要因についての情報を得、熱・水・二酸化炭素フラックスの決定機構を明らかにすることを目的として研究を行った。 本年度は、滋賀県南部ヒノキ林、兵庫県南部常緑広葉樹緑地、半島マレーシア熱帯雨林の3地点において植生面上熱・水・二酸化炭素フラックスおよび、植生面内外気象条件、個葉ガス交換特性、群落構造、土壌呼吸、土壌水分特性等の各種要因の観測を継続して行い、年変動を含む長期のデータセットを構築中である。フラックスの測定には現有の超音波風速温度計、赤外線ガスアナライザーおよび現有のデータ収集システムを用いた。気象観測には現有の諸観測機器およびデータ収集システムを用いた。個葉上のガス交換特性の測定には現有の携帯式光合成・蒸散測定システム、ポータブルクロロフィル蛍光測定器等を用いた。本研究は、精度のよいフラックス観測結果に裏打ちされることが必要であるが、両地点でのフラックス観測に現在用いているシステムは、長期観測の必要上からクローズドパス方式のシステムとなっている。このシステムはチューブ内での乱流成分の減衰を考慮に入れる必要があり、オープンパス方式のシステムによる測定結果とのスペクトル特性の比較検討とこれに基づいた補正が必要である。このため新たに備品としてオープンパスガスアナライザーを購入し、現システムによる観測結果を補正するための集中的な測定を行った。また、個葉ガス交換特性の測定を強化し、ヒノキおよび数種常緑広葉樹について個葉ガス交換特性をパラメタライズし、またその空間分布特性なども明らかにした。また群落構造、および土壌呼吸特性についても観測に基づいた関数化とパラメタリゼーションを行った。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Kosugi, Y., Shibata, S., Kobashi, S.: "Parameterization of the CO_2 and H_2O gas exchange of several temperate deciduous broad-leaved trees at the leaf scale considering seasonal changes"Plant, Cell and Environment. 26. 285-301 (2003)
-
[Publications] Tanaka, K., Kosugi, Y., Nakamura, A.: "Impact of leaf physiological characteristics on seasonal variation in CO2, latent and sensible heat exchanges over a tree plantation"Agricultural and Forest Meteorology. 114. 103-122 (2002)
-
[Publications] 高梨聡, 小杉緑子, 谷誠, 矢野雅人, 大手信人, 田中広樹, 田中克典: "ヒノキ林における降雨中および降雨後の蒸発散過程"水文・水資源学会誌. 16(印刷中). (2003)
-
[Publications] 松尾奈緒子, 小杉緑子: "暖温帯性広葉樹における個葉のガス交換制御の季節変化について"日本緑化工学会誌. 28(1). 14-19 (2002)
-
[Publications] 和田卓巳, 谷誠, 小杉緑子, 高梨聡: "ヒノキ林における樹体貯熱量の推定"森林研究74. 74. 69-76 (2003)