2003 Fiscal Year Annual Research Report
ニホンジカの摂食圧にさらされた森林へのナギとナンキンハゼの侵入および分布拡大
Project/Area Number |
14760106
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
名波 哲 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70326247)
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Keywords | 個体群構造 / 種子散布 / 照葉樹林 / 生物学的侵入 / 耐陰性 / ナギ / ナンキンハゼ / ニホンジカ |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、奈良県春日山照葉樹林内に侵入した外来樹種、ナギとナンキンハゼの分布を調査した。ナギは99地点において、合計1382本が、ナンキンハゼは317地点において4766本が確課された。サイズクラスごとにみると、ナギの樹高130cm以下の個体、樹高130cm以上かつ胸高直径10cm以下の個体、胸高直径10cm以上の個体はそれぞれ、663本、674本、45本であった。同じくナンキンハゼの場合は4212本、541本、13本であった。今年度調査した地域は昨年度とほぼ同じ約50haで、当初の目標である調査面積100haがほぼ達成できた。 昨年度の調査地域は、ナギやナンキンハゼが最初に植えられてと考えられる春日大社や奈良公園に近い地域であり、ナギとナンキンハゼがそれぞれ6000本超、4000本超が確認されたのに比べ、今年度は春日大社や奈良公園から離れた地域であったため、ナギの確認個体数は大鹿に減少したものの、それでも上記の通り、約1400本もの数が確認された。ナンキンハゼは昨年と同程度の4000本超もの個体が確認され、特に樹高130cm以下の若い個体の数が多かった。鳥によって種子散布されるため、散布原から距離的に離れた地域にも急速に侵入していると考えられた。確認された場所の林冠の状態を見ると、ナギは閉鎖林冠下でも多くの個体が確認されたのに対し、ナンキンハゼはほとんどが林冠ギャップあるいは疎開林冠下で確認された。ナギは耐陰性の高さから、定着場所を閉鎖林冠下での定着可能という点で、ナンキンハゼは分散力の大きさから分布拡大速度が速いという点で、ともに原生的照葉樹林にとって大きな脅威となっていることが示された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Yuri MAESAKO, Satoshi NANAMI, Mamoru KANZAKI: "Invasion and spreading of two alien species, Podocarpus nagi and Sapium sebiferum, in a warm-temperate evergreen forest of Kasugayama, a World Heritage of Ancient Nara"International Symposium Global Environment and Forest Management. 1-9 (2003)