2003 Fiscal Year Annual Research Report
日本系サケの生残と回遊の遊泳エネルギーコストに関する研究
Project/Area Number |
14760129
|
Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
東屋 知範 独立行政法人水産総合研究センター, 北海道区水産研究所・亜寒帯漁業資源部, 研究員 (60344321)
|
Keywords | 日本系サケ / サケ回遊モデル / 経年変化 / エネルギーコスト / 鱗相分析 |
Research Abstract |
平成14年度の計画どおり,日本系サケ鱗標本のデータ解析を行なった.また遊泳エネルギーコストのアルゴリズムを組み込んだサケ回遊モデルの構築とチューニングを行ない現実の回遊を再現できるようにした.23年分の遊泳エネルギーコストについて秋から翌年の夏までを1ケースとして計23ケース(23年分)の計算を行なった.モデル内ではサケが好きな水温環境へ能動的に遊泳するように設定しているので,サケはほぼ同じ水温環境を毎年経験できる.しかし冬季には吹送流(風による流れ)によってサケが好きな水温環境から流されると,その好きな水温環境に留まるために流れに逆らって遊泳した.一方,夏季の吹送流は冬季より小さく,サケの好きな水温が北上するため(昇温),サケはそれを追って遊泳した.これらにより,日本系サケの遊泳エネルギーコストの季節変化には冬季と夏季に2つのピークが見られた.冬季の遊泳エネルギーコストのピークには経年変化がみられたが,夏季の遊泳エネルギーコストには経年変化がほとんどみられなかった.遊泳エネルギーコストはサケの棲息水温とサケの遊泳速度から計算されるが,先のモデルの設定(サケは好きな水温環境へ能動的に遊泳)のため,棲息水温の経年変化より遊泳速度(吹送流に対して泳ぐ)の方が遊泳エネルギーコストに影響を及ぼすことになる.そのため,夏季に遊泳エネルギーコストの経年変化が顕著でないのは,夏季の吹送流が冬季より小さいことが要因である.したがって,冬季から夏季までの日本系サケの遊泳エネルギーコストの経年変化は,北太平洋における吹送流が冬季に大きく年変化することによって生じたことが明らかになった.
|
Research Products
(1 results)