Research Abstract |
本研究は,食料市場全体の伸び悩みをよそに急成長を遂げている「中食」需要の展開に特に着目し,わが国におけるライフスタイルの変化と食料需要の構造変化の関係を「内食」,「中食」,「外食」という消費形態の視点から実証的に把握し,時系列および横断面データに独創的なモデルを適用して詳細な計量経済分析を行うことにより,分析方法の学術的発展に貢献することを目的とする。既存研究における時系列データを使用した方法を独創的かつ大規模な新モデルにより拡張・精緻化するとともに,横断面の個票データを用いて詳細な裏付けを行い,より信頼性の高い実証結果を探ろうとするものである。 計量経済分析に先立ち,「中食」市場の実態を正確に把握するために,関連資料の収集,整理,ならびに実態調査を集中的かつ広範に行った。特に,コンビニエンス・ストアを中心として「中食」市場拡大の背景を調査,整理した。というのは,コンビニエンス・ストアは,粗利益率の高い弁当,おにぎり,調理パン,惣菜などの「中食」を看板商品の1つとしており,供給サイドから「中食」市場の拡大に最も貢献してきたとされているからである。具体的には,セブン-イレブン,ローソン,ファミリーマートなどの大手コンビニ・チェーンを対象として,ヒアリング調査,資料の収集,整理,分析を行った。また,本研究では消費者のライフスタイルを特徴づけるキーワードの1つとして余暇を明示的にモデルに取り入れるが,そのためのデータとして労働,賃金関係の資料を収集,整理した。これらの調査結果を十分に踏まえた上で,実態に即した独創的な計量経済分析モデルの特定化を進めた。
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