2002 Fiscal Year Annual Research Report
乾燥地における土壌の塩集積・溶脱と河川水質との相互作用に関する研究
Project/Area Number |
14760158
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
猪迫 耕二 鳥取大学, 農学部, 助教授 (60243383)
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Keywords | 塩集積 / 溶脱 / 河川水質 / 蒸発 / 溶質移動 |
Research Abstract |
本研究は,乾燥地を流れる河川水質と沿岸部における土壌の塩集積・溶脱との相互作用を明らかにすることを目的としている.本年度の成果は以下のようにまとめられる. 1.実際の乾燥地を流れる河川(リオグランデ川)を水源とする貯水池における塩濃度の変動傾向を再現するモデルを構築した.本モデルによる解析結果から,リオグランデ川の塩分濃度が長期上昇傾向にあること,および,河川本流をダムで締め切った冬季では,夏季に灌漑した水が高濃度の塩水となって農地から戻り,河川の塩濃度を著しく高めていることが明らかとなった.このことから,河川水質の適正管理には塩の移動を流域全体で管理する必要があることが示された. 2.Ca, Na, K, Mg濃度がそれぞれ260,280,170,160ppmである河川水を想定し,その沿岸部における塩集積傾向を調べるために1次元カラムで蒸発実験を行った.その結果,土性(砂土,壌土)によって集積しやすい塩の種類が異なることが明らかとなった.すなわち,砂土ではNa>Ca>Mg>Kであり,壌土ではNa>Mg>K>Caとなった.とりわけ壌土では時間の経過とともにCaの含有比率が低下し,Naが増加していった.これは土壌に保持されているNaと溶液中のCaとの交換が生じたためと思われる.塩によって水への溶解度は異なることから,集積する塩の成分が変化するという今回の結果は,集積の進行具合によってリーチング効果が異なることを示唆している. 3.異なる土性(砂土,軽埴土)が隣接する2次元土槽による蒸発実験を行い,2次元場における水分と塩の挙動を調べた.その結果,砂土から軽埴土への水の移動が起こり,軽埴土における土壌水の塩分濃度が高くなること,軽埴土の塩集積が砂土よりも卓越すること,どちらの土性においても,土性間の境界近傍で塩集積量が大きくなることが明らかとなった.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] INOSAKO, K., Y.Nakano, M.Kuroda, K.Takuma: "Effect of riit distribution on change in soil moisture"Advanced in Hydraulics and Water Engineering. Vol.1. 505-510 (2002)