2002 Fiscal Year Annual Research Report
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14770222
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Research Institution | Kitasato Institute |
Principal Investigator |
黒川 真奈絵 社団法人北里研究所, 臨床薬理研究所, 研究員 (90301598)
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Keywords | 強皮症 / T細胞 / T細胞受容体 / 末梢血 / 皮膚 / RT-PCR / サザンブロット / SSCP |
Research Abstract |
タイ、コンケーン地区の強皮症(systemic sclerosis, SSc)患者7人より末梢血および皮膚組織をペア検体として入手、末梢血より分離したリンパ球と皮膚組織よりreverse transcriptase-polymerase chain reaction (RT-PCR)法にて、T細胞受容体(T cell receptor, TCR)β鎖遺伝子を増幅した。プライマーはVβとCβの領域に設定、VβについてはVβ1-20の各Vβに特異的なプライマーをサブファミリーを含め計22準備した。CβについてはCβ1およびCβ2に共通のプライマーを1種類準備し、このCβプライマーと各Vβプライマーの組み合わせで、1検体につき22種類のPCRを施行した。 末梢血リンパ球よりは、検討した7人全員にてTCRβ鎖遺伝子のPCR産物が得られた。しかしそのVβの使用には各症例で大きな差があり、健常人の解析例のようにVβ1-20をほぼ均等に使用している例から、一部のVβのみを集中して使用している例まで、多様な結果を認めた。各Vβの使用頻度を測定するためCβ特異的なプローブを作製し、各VβのPCR産物に対してサザンブロット法を行った。得られたバンドの濃さを測定し、各Vβの使用頻度を検討した。22のVβが均等に使用されていると仮定した時の平均値4.5%に対する各Vβの使用頻度のバラつきをstandard deviation (SD)として取り、患者ごとに検討した結果、このSD値はSScの主病変である皮膚症状を発現してからの罹病期間に逆相関することが分かった。 得られたTCRβ鎖遺伝子PCR産物を未変性のアクリルアミドゲルに展開し、一本鎖高次構造多型(single strand conformation polymorphism, SSCP)により分離、クローナルに増殖しているT細胞のTCRβ鎖遺伝子がバンドとして検出されるかどうかを調べた。末梢血リンパ球の結果では全ての患者において多数のバンドが検出され、T細胞のクローナルな増殖が証明された。前述のサザンブロット法の結果と比較したところSD値が高いほど太いバンドが存在し、Vβ使用の偏りはT細胞のクローナルな増殖によることが分かった。 皮膚検体よりTCRβ鎖遺伝子のPCR産物が得られたのは、検討した7人中1人のみであった。サザンブロットの結果、この症例の皮膚におけるVβの使用は末梢血とは異なっていた。SSCPの結果、多数のバンドが認められT細胞のクローナルな増殖が証明されたが、末梢血と皮膚で共通して使用されているVβにおいてバンドのパターンは異なっており、末梢血と皮膚では異なるT細胞が増殖している可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Manae Suzuki Kurokawa, Kusuki Nishioka, Tomohiro Kato: "Detection of clonally expanded T cells by RT-PCR-SSCP and nucleotide sequencing of T cell receptor β CDR3 regions"Methods in Molecular Biology. 193. 267-280 (2002)
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[Publications] Kensuke Kojima, Manae Suzuki Kumkawa, et al.: "Clonal expansion of limited T cell clonotypes in affected muscle from a patient with post-transplant Polymyositis"Bone Marrow Transplantation. 30. 467-470 (2002)