2002 Fiscal Year Annual Research Report
若年成人男性の血管内皮機能を規定する因子に関する研究
Project/Area Number |
14770309
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松井 英夫 名古屋大学, 医学部附属病院, 助手 (00324434)
|
Keywords | 血管内皮機能 / 酸化LDL / LDL粒子サイズ |
Research Abstract |
近年の研究により、血管内皮機能異常は動脈硬化に先行して起こることが示唆されている。すなわち、臨床的には動脈硬化の所見が認められない段階から、すでに血管内皮機能は傷害されていることになる。一方、新しい心血管疾患の危険因子として、small dense LDL(小型高密度LDL)や酸化LDLが注目を浴びている。本研究ではこれらの因子に着目し、臨床的に動脈硬化の所見が認められない若年成人男性(49名)を対象として、血管内皮機能を規定する因子について評価を行った。 【方法】血管内皮機能は、高解像度ドップラーエコーを用いて駆血後の反応性充血時の上腕動脈の血管径と血流速度を測定し、内皮依存性血管拡張反応として評価した。LDL粒子サイズは勾配ゲル電気泳動法により、またLDL酸化の指標としてマロンディアルデハイド化LDL(MDA-LDL)をサンドイッチELISA法により測定した。 【結果】MDA-LDLとLDL粒子サイズとの間には、有意な負の相関を認めた(γ=-0.326、P<,0,05)。さらにLDL粒子サイズはMDA-LDLの独立した規定因子であった(R^2=0.106)。このことからsmall LDL particles(小型LDL粒子)は酸化変性を受けやすいと考えられた。一方、MDA-LDLとLDL粒子サイズはともに血管内皮機能と有意な相関を認めたが(それぞれγ=-0.371、P<0.01、およびγ=0.311、P<0.05)、ステップワイズ回帰分析を行うと、MDA-LDLのみが血管内皮機能の独立した規定因子であった(R^2=0.137)。 【結論】以上よりLDLの酸化変性が、他の心血管疾患の危険因子とは独立して血管内皮機能を傷害することが示唆された。またsmall dense LDLは酸化変性を受けることにより、間接的に血管内皮機能傷害に関与していることが示唆された。
|