2004 Fiscal Year Annual Research Report
壊変系列を伴うα線放出核種の化学的変化に対応できるビオチン誘導キレート薬剤の開発
Project/Area Number |
14770448
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鷲山 幸信 金沢大学, 医学部, 助手 (80313675)
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Keywords | α放射体 / In vivo generator / ^<223>Ra / ^<224>Ra / Rn / 転移性骨腫瘍 |
Research Abstract |
本研究ではα線放出核種を対象として、これらの核種を治療に使用するために必要な二官能性キレート薬剤を開発することを目的としてきた。そのための基礎的な条件としてキレート剤の選定、およびキレートと結合した放射性核種が壊変後においても結合を維持できるかといった項目を検討してきた。この検討の際に、骨へ集積しやすいラジウム(Ra)やトリウム(Th)、特にアクチニウム系列核種^<227>Th(T_<1/2>=18.72d)と骨親和性のキレート剤であるEDTMPとの錯体を合成し、動物実験の結果から^<227>Thの選択的骨集積および娘核種^<223>Ra(T_<1/2>=11.435d)の高い骨内保持を確認した(昨年度の報告)。本実験ではさらに^<223>Ra以降の娘核種^<211>Pb(T_<1/2>=36.1m)の骨内保持に関して検討を行った。Raの持つ高い骨集積性と娘核種の骨内保持に影響を与える因子を確認するために^<223>Raと同じ壊変様式を示すトリウム系列核種^<224>Ra(T_<1/2>=3.66d)を用い、それぞれの娘核種^<211>Pb,^<212>Pbの骨内保持率を比較検討した。 Raは骨に対し特異的に集積し、^<223,224>Ra同位体間の集積の違いは見られなかった。投与後初期から経時的に軟組織からのRaの早いクリアランスが観測されたが、骨での取り込み率は一定であった。^<211>Pbは^<223>Ra投与後の経過時間が長期化(3時間後:68.4%,2日後:77.4%,7日後:85.3%)するほど^<211>Pbの骨内保持率は上昇した。これに対し^<212>Pbは^<224>Ra投与後2日で39.1%であった。Pb元素の持つ骨親和性や、系列中のPo同位体の半減期が非常に短いことなどから、Pbの骨内保持には希ガス元素のRnの半減期が重要であることが確認された。特に^<211>Pbの場合、親核種の^<219>Rnの半減期が短い(T_<1/2>=3.96秒)ことが骨からの遊離を少なくしていると考えられる。さらにPb保持率の時間依存性が見られたことからRaの骨内への内在化が示唆された。この結果は^<227>Th-EDTMPを転移性骨腫瘍治療に用いる際に、^<223>Ra以下の娘核種が高い割合で長期間骨に保持され、その結果高い線量を腫瘍に対して照射できる可能性を支持している。
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Research Products
(3 results)