2002 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロメジンUの内分泌代謝並びに睡眠・覚醒における役割の解明
Project/Area Number |
14770592
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Research Institution | Beppu University |
Principal Investigator |
花田 礼子 別府大学, 食物栄養学部, 講師 (00343707)
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Keywords | ニューロメジンU / 摂食調節 / 日内リズム / 視床下部 / 内分泌・代謝 |
Research Abstract |
ニューロメジンUは1985年に子宮収縮アッセイを用いて豚の脊髄から単離されたペプチドで2000年には2つのレセプターが同定された。ニューロメジンU1受容体は消化管をはじめ末梢組織で、ニューロメジンU2受容体は主に視床下部室傍核や海馬領域で発現していることが明らかになった。従来より視床下部室傍核は摂食調節や自律神経系を調節する中枢として知られており、海馬は記憶・学習に深く関与する部位であると報告されている。このような背景のもとに申請者らはニューロメジンUによる摂食抑制作用やエネルギー代謝亢進、自律神経の活性化や視床下部-下垂体系の活性化、ストレス行動の惹起などのこれまで知られていなかった機能を報告してきた。申請者らは本年度中に新たに次のような実験を行った。 1,ニューロメジンUのラット脳室内投与にて日内リズムの位相の変位を明らかにした。また、今まで報告はなかったが、ほ乳類にて日内リズムを司るといわれている視床下部視交叉上核にニューロメジンUとニューロメジンUの受容体の発現を同定した。更にニューロメジンU欠損マウスを作出し、その解析により、これらのマウスでは日内リズムの消失がみられることを突き止めた。以上より、ニューロメジンUが日内リズムを制御する上で重要な分子であることが証明された。 2,ニューロメジンUを脳室内に投与すると摂食抑制作用が現れる。このメカニズムを更に追究するためにニューロメジンU欠損マウスを用い,内分泌・代謝機構を解析した。ニューロメジンU欠損マウスにおいては明らかな肥満を呈し、摂食量の増加、運動量の低下などを認めた。さらに病理学的には脂肪肝や高脂血症もみられ人間における肥満モデルとなりうることが判明した。これらより、ニューロメジンUは内因性の抗肥満ペプチドであることが示唆された。 本年度の研究からニューロメジンUは食欲抑制作用を有するだけではなく、代謝・エネルギー調節や日内リズムの構築に様々な面から深く関与することが判明した。以上により今後、ニューロメジンU関連の病態の解明や臨床への応用が期待される。
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