2002 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸筋の緊張性振動反射による呼吸の促進効果、胸腔内圧の変化の臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
14770688
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
神尾 義人 昭和大学, 医学部, 助手 (20338461)
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Keywords | 胸腔内圧 / 呼吸器外科手術 / 胸壁振動刺激 |
Research Abstract |
本年度は振動刺激を与えない対照群として、術後急性期(手術当日〜第二病日)における安静呼吸時の胸腔内圧について検討した。対象としたのは、昭和大学横浜市北部病院呼吸器センターにおいて胸部手術をうけ、術後に胸腔ドレーンが留置中の状態で気漏を認めなかった症例20例である。胸腔ドレーンを圧モニターに接続し、仰臥位の状態で安静呼吸に伴う胸腔内圧の変化を測定した。圧モニターは観血的動脈圧測定用のものを使用した。この測定装置では呼吸性に変動する胸腔内圧の3呼吸分の平均値が記録できる。最大陰圧(吸息時:peek圧)・最低陰圧(呼息時)・平均胸腔内圧(mean圧)それぞれの平均値を7分間以上記録し、さらにその平均値を求め検討した。結果(1)安静呼吸時のmean圧の平均は-6.77mmHg、peek圧の平均は-11.06mmHgであった。(2)術式で比較すると、肺切除の大きい症例の方が肺切除が小さい症例に比べてmean圧・peek圧ともに陰圧がやや強い傾向が見られたが、有意差は認めなかった。しかし、肺切除をまったく行っていない症例では、mean圧・peek圧の陰圧はともに平均より有意に弱かった。この差は肺切除症例で術後急性期に残存肺の再膨張が充分でないため横隔膜が収縮したことによる胸腔内の陰圧に肺が充分に緩衝していないことによると考えられた。(3)また肺を切除していない症例のデータは健常成人の胸腔内圧に近いものとして扱うことができると考えられる。 さらに本年度の検討では性別・年齢・身体の大きさ・術創の大きさなどによる、胸腔内圧の有意差はみられなかったが、胸腔内圧の値は症例によって大きく異なることが明らかとなった。 次年度は振動刺激の投与を行って、これらの結果と比較検討する予定である。
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