2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14770803
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
井上 博夫 信州大学, 医学部・泌尿器科, 助手 (60334893)
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Keywords | 腹圧性尿失禁 / 注入療法 / 線維芽細胞増殖因子 |
Research Abstract |
当初家兎を用いて尿道壁内に軟骨細胞を移植し、腹圧性尿失禁の治療として有用か研究する予定であったが、すでに同様の研究をヒトに対して行った報告が発表されたため計画を変更した。 目的:最近再生医療が注目され各種細胞増殖因子を用いた研究が盛んになっている。線維芽細胞増殖因子(FGF)は血管新生、間質形成を促進する物質としてさまざまな研究に利用されているが、今回の研究はFGFを尿道粘膜下に注入し、間質組織を増殖させ尿道内腔に突出させ尿道抵抗を増大させることで尿失禁に対する治療となりうるか検討した。 対象と方法:ビーグル犬を用いて、コントロール群2頭とFGF注入群2頭に分け検討した。あらかじめ尿道を周囲組織より剥離し虚血状態とした。その3週間後にFGF注入群には基剤をヒアルロン酸ナトリウム・カルボキシメチルセルロースとしたFGF100μgを尿道粘膜下に注入し、コントロール群は基剤のみを注入した。4週間後膀胱・尿道を摘除したのちHE染色標本とし観察した。 結果:コントロール群は注入部位に注入した基剤やそれを貪食した細胞を認めるもののその周囲に特別な変化を認めなかった。FGF注入群は注入部周囲に軽度の間質形成を認めるものの尿道内腔に突出するほどのものはできなかった。これはFGFの濃度の設定が低い、基剤が適切でないなどの理由が考えられる。今後の方針として適切な基剤を求め、FGFの徐放化も検討したうえで、実際に尿失禁モデルを作成しFGF注入が有効か調査したい。
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