2002 Fiscal Year Annual Research Report
難治性根病巣に形成されたバイオフィルムの病原性解析と効果的破壊法の確立
Project/Area Number |
14771052
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
竹中 彰治 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (50313549)
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Keywords | バイオフィルム / 共焦点レーザー顕微鏡 / 薬剤抵抗性 / 感染根管治療 |
Research Abstract |
1)義歯の微小亀裂内および歯の表面で形成されたバイオフィルムの機能解析 長期使用後不要となった義歯を割断し新鮮面をSEMにて観察したところ、義歯の微小亀裂に侵入した細菌がbiofilmを形成していた。また、殺菌作用があるとされる市販の義歯用洗浄剤に浸漬後に新鮮面から採取した義歯切削片を嫌気培養したところこれらのbiofilm中の細菌が生存していることが確認された。これらのことから、単独では義歯洗浄剤により死滅する細菌もbiofilmを形成することで抵抗性を高めることが確認された。また、歯面に形成したbiofilmと菌単独の状態のものとを抗菌性含嗽剤にて処理後、抵抗性を共焦点レーザー顕微鏡を用いてその生菌率を解析したところ、菌単独(3.2%)のものに比べてbiofilm状態(36.8%)のものは抗菌性含嗽剤に対しても遥かに抵抗性を示していた。 2)感染根管治療を成功に導くための効果的な根管洗浄法の確立 根尖病巣内のbiofilmを破壊し良好な予後を得るためには、機械的な清掃が困難な根管壁を化学的に洗浄し、その後の貼薬薬剤の浸透性を向上させるための効果的な根管洗浄法を確立することである。ヒト新鮮抜去歯を用いて各種根管洗浄法について検討した結果、以下の結論を得た。最も効果的な根管洗浄法は15%EDTA浴下で60秒間超音波処理しスメア層を除去したのち、10%NaClO浴下で60秒間超音波洗浄することにより有機成分(歯髄組織や細菌を含む汚物)を除去することであるが、超音波装置の併用は薬液を広範に飛散させる危険があり、ラバーダム防湿ならびに的確なバキューム操作は不可欠であり細心の注意が必要である。また、治療時間が長くなることが欠点であり、超音波装置が設置していない診療所ではリン酸エッチングを根管内に送り込み10秒間処理後、10%NaClOで十分に洗浄することによってもスメア層除去が可能である。これらの根管洗浄法を用いることでその後の貼薬剤の殺菌効果が最大限に引き出せると思われる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kohichi Kota: "Bactericidal Effects of Different Root Canal Cleaning Methods on the Microorganisms in the Deep Layers of Root Canal Dentine"Niigata Dent.J.. 32(2). 251-255 (2002)
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[Publications] Shoji Takenaka: "Antibacterial Effect against Bioflim Formed in Denture Structure and on Tooth Surface"Transactions of the Fourth International Congress on Dental Materials. 16. 147 (2002)