2003 Fiscal Year Annual Research Report
口腔感覚評価法を取り入れた機能回復評価システムの開発
Project/Area Number |
14771084
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
古谷 暢子 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (10314387)
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Keywords | 味覚 / 厚さの弁別能 / 温度感覚 / 閾値 / アンケート調査 |
Research Abstract |
義歯を装着することによって生じる感覚の変化は,患者にとって時に大きな苦痛となり,そのことが義歯装着を妨げる要因になることが多い.そこで,本研究では温度感覚および味覚の客観的評価の確立と床装着時における味覚,触覚および温度感覚の変化を明らかにすることを目的として行った. まず,前年度に引き続き有歯顎者を用い,レジン床(厚さ1.5mm),金属床(厚さ1.5mm,0.5mm)の3種類の実験床を製作し,味覚および厚さの弁別能が,硬口蓋を被覆する材質や厚さによってどのように変化するかについて検討した.その結果,その結果,同じ厚さのレジン床と金属床では差は認められなかったが,厚さ0.5mmの金属床を装着すると厚さの弁別閾値と味覚閾値はいずれも有意に低い値を示した(日本補綴歯科学会誌47-1,48-1). また,温度感覚については味覚と同様に,有歯顎者に対して3種類の実験床を製作し,局所(硬口蓋)と口腔内全体での感覚について検討を加えた.硬口蓋部の温度感覚は,ベルチェ効果を利用した装置を用い,口腔内全体の温度感覚はマグニチュード推定法を用いて測定した.その結果,硬口蓋部では,レジン床≧金属床(1.5mm)>金属床(0.5mm)>非装着の順に,口腔内全体では,レジン床=金属床(1.5mm)≧金属床(0.5mm)>非装置の順に温度感覚が判りにくくなった(2004IADR). さらに,平成15年度大阪府老人大学講座受講生を対象に対面調査を行った.その結果,ろ紙ディスク法による味覚検査では,若年者と比較して高齢者では有意に認知閾値は高い値を示したが,自覚的な味覚に対する不満との間に有意な関連性は認められなかった.さらに,ロジスティック回帰分析により,味覚に対する不満に関連する因子としては,義歯による硬口蓋の被覆および夜間・起床時の口腔乾燥感が挙げられることが示された(第37回日本味と匂学会,2004IADR).
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 古谷暢子, 吉仲正記, 小野高裕, 野首孝祠: "実験用口蓋床が厚さの弁別能に及ぼす影響 -材質および厚さによる変化-"日本捕綴歯科学会雑誌. 47(1). 20-27 (2003)
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[Publications] 古谷暢子, 吉仲正記, 池邉一典, 小野高裕, 野首孝祠: "実験用口蓋床の厚さと材質が味覚閾値に及ぼす影響"日本捕綴歯科学会雑誌. 48(1). 67-73 (2004)
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[Publications] 野首孝祠, 古谷暢子: "義歯材質の味覚への影響"日本医事新報. 4160. 97-98 (2004)
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[Publications] 古谷暢子, 吉仲正記, 池邉一典, 野首孝祠: "高齢者の味覚と口腔内状況との関連"第37回日本味と匂学会予稿集. H15.9.25. 90 (2003)
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[Publications] M.Furuya, M.Yoshinaka, K.Ikebe, Y.shimanuki, T.Nokubi: "Association of taste sensation with oral status in older adults"International Association for Dental Research. H16.3.12. (2004)
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[Publications] M.Yoshinaka, M.Furuya, K.Ikebe, T.Nokubi: "Influence of experimental palatal plates on thermal sense"International Association for Dental Research. H16.3.12. (2004)