2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14771177
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
恒石 美登里 岡山大学, 歯学部附属病院, 助手 (50304324)
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Keywords | 根管充填 / 根尖病巣 / 慢性根尖性歯周炎 / Periapical Index / 記述疫学 |
Research Abstract |
本研究の目的は,慢性根尖性歯周炎の評価指標,Periapical Index(PAI),を用いて,わが国の根管治療受療者の分布や重症度の把握および評価を客観的に行うことである。平成14年度は,X線写真読映のキャリブレーション,対象X線写真のサンプリングおよび読映を行い,記述疫学的に分析を行った。 (1)キャリブレーション:2名の歯科医師が100枚のX線写真を評価した。検者間のκ値は0.931,検者内のκ値は0.902および0.906であった。 (2)サンプリングと分析:1989年1月から2001年3月までに岡山大学歯学部附属病院予防歯科を受診した150名の初診時全顎標準X線写真を用いた。根尖病巣をPAIで評価し,根管充填の状態を適正,過剰,不足の3つに分類した。統計分析にはSPSS 11.0 J for Windowsを用いた。 根管充填歯保有者は75,3%であった。保有者の70%は根尖病巣(PAI≧3)を持っていた。根管充填歯数は20歳代から年齢とともに増加した。根尖病巣歯の割合は20歳代から増加したが40歳代以降はほぼ一定値を示した。病巣保有者率の性差は見られなかった。 対象歯3,725歯のうち17.2%が根管充填歯であった。根管充填歯に占める根尖病巣歯の割合は31.9%であった。歯種別にみてみると,下顎では第一大臼歯と側切歯が有意に病巣歯の割合が高かった。上顎では歯種の違いはみられなかった。根管充填材の根尖への到達度による根尖病巣歯率は,過剰66.6%,適正31.0%,不足28.6%であった。根尖病巣の有無を従属変数,年齢,性別,歯種,および根管充填材の根尖への到達度を説明変数として,重回帰分析を行った結果,根尖病巣に最も影響する因子は,過剰根管充填であり,次いで下顎第1大臼歯,下顎側切歯という要因であった。 平成15年度は,症例数を増やして分析を行う。
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