2002 Fiscal Year Annual Research Report
フッ化物応用後のグラスアイオノマーセメントにおけるフッ化物の吸収及び放出について
Project/Area Number |
14771210
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
川村 和章 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (10298234)
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Keywords | フッ化物 / グラスアイオノマーセメント |
Research Abstract |
目的:フッ化物(F)洗口によるグラスアイオノマーセメント(GIC)へのFの吸収ならびに放出を明らかにする自的で、F洗口溶液浸漬後にGICから放出されるF量を経日的に測定した。 方法:GC社製Fuji IONOMER【○!R】 TYPE IIを練和し、直径9mm高さ3mmの円板状試料を作製した。F洗口は週1回法を想定し、1週間に1回ずつ900ppmF溶液2mlに60秒間試料を浸漬した後、37℃に保った2mlの蒸留水(D.W.)中に移し、D.W.に溶出するF量を測定した。F量測定ごとにD.W.を交換し、1、3、5、7日後に、F量を測定した。さらに、この操作サイクルを4週間にわたり繰り返した。F濃度の測定には、全イオン強度補正緩衝液(TISAB III)を添加するFイオン電極法を用いた。なお、F溶液を応用しない試料を対照群として、同様に放出F量を測定した。 結果:試料の重量に、F作用群と対照群間の差は認められなかった。試料から放出した累積F量はF作用群において有意に高かった。各測定日の放出F量では、両群ともに実験開始第1日目に最大のF放出量を示し、その後減少した。実験開始第1週目のF作用群と対照群に差は認められなかったが、その後の2、3、4週目のF溶液浸漬1日後のF放出量は、F作用群の方が有意に高かった。 考察:今回のGICからのF放出様式は、実験開始の初期に多くのF量を放出した後、徐々に減少する傾向を示し、他の報告と一致していた。実験第1週目のF溶液浸漬直後のF放出に有意性が示されなかったことは、硬化初期のGICにはFが作用溶液中のFより相対的に過剰に存在し、Fの取り込みに影響を与えたものと考えられた。その後のサイクルでは、ある程度Fが放出したためにF溶液作用によってFが再吸収されたものと考えられることから、GICが口腔内でのFの供給源になりうる可能性が示唆された。
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