2002 Fiscal Year Annual Research Report
還元応答型HPLC/ECDを用いた簡便・高選択的な生体分析および食品分析法の開発
Project/Area Number |
14771264
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山内 雄二 大阪大学, 薬学研究科, 助手 (80314392)
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Keywords | HPLC / ECD / nitrophenol / urine / plasma / acid phosphatase / nitrophenylphosphate / Bessey-Lowry-Brock assay |
Research Abstract |
HPLCの溶離液をヘリウムを用いて断続的に脱酸素し全ての配管にPEEK樹脂製チューブを採用することにより,特殊な装置を用いなくとも溶離液中の溶存酸素を効率的に除去でき,簡便で実用的な還元応答型HPLC/ECD分析システムを構築できることを見出した。芳香族ニトロ化合物の一種であるp-nitrophenol(p-NP)を分析モデル化合物として用いて本分析システムの分析特性を評価したところ,検出下限濃度は0.2μM(2pmol),定量濃度範囲は0.25-50μMであった。また,分析値の日内および日間変動(n=6)はそれぞれ1%以内および3%以内であり,本分析法が高感度で再現性の高い手法であることが確認された。 p-NPを添加した尿および血しょう試料を還元応答型HPLC/ECD分析システムで測定したところ,尿や血液中に存在する生体成分に妨害されることなくp-NPが良好に検出された。また生体試料を連続測定した場合においても,ECD検出器の劣化等による測定感度の低下などは観察されなかった。 還元応答型HPLC/ECD分析システムの臨床検査試験法としての有用性を検証するため,人の尿を用いて本分析システムの尿中酸性ホスファターゼ活性試験法への適用を検討した。その結果,尿中酸性ホスファターゼの酵素反応により人工基質であるp-nitrophenylphosphateから生成したp-NPが本分析システムにより良好に検出されることが分かった。また,本方法により算定された酵素活性値と,既存の比色法(Bessey-Lowry-Brock法)により測定された酵素活性値との間には良好な相関(n=7,r^2=0.995)が観測された。以上の結果より,本分析システムが生体分析へ適用可能であることが確認された。
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