2002 Fiscal Year Annual Research Report
アストロサイトの分化におけるアリルハイドロカーボン受容体の役割
Project/Area Number |
14771321
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
高永 博実 北里大学, 薬学部, 助手 (50337987)
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Keywords | アストロサイト / アリルハイドロカーボン受容体 |
Research Abstract |
ラットグリオーマC6細胞は、細胞内cyclic AMP(cAMP)濃度の上昇に伴い、アストロサイトマーカーのグリア線維性蛋白質(GFAP)の発現誘導とアストロサイト様の形態変化が観察される細胞である。申請者はこれまでに、ダイオキシン類の受容体として知られるアリルハイドロカーボン受容体(以下AhR)が、cAMP依存的なC6細胞分化を抑制することを発見した。本申請では、AhRによるC6細胞分化の抑制メカニズムを明らかにするために、C6細胞分化に関わる転写因子に着目して研究を進めている。細胞の分化に応じてどのような転写因子が活性化されるかをスクリーニングしたところ、CREB(cAMP response element binding protein)がcAMP依存的に活性化され、またこの活性がAhRによって阻害されることが明らかになった。また、GFAPプロモーター活性を正に制御することで知られるSTAT3(signal transducers and activators of transcription)に関しては、活性化に必要なリン酸化部位であるSer727とTyr705両残基のリン酸化と、STAT3のDNA結合能を調べた。その結果、STAT3のcAMP依存的なリン酸化とDNA結合能が、AhR活性化によって抑制されることが明らかとなった。GFAPプロモーターは、STAT3とCREB両方の認識配列を持っていることから、AhRはSTAT3とCREBの転写活性を阻害することで、GFAPプロモーターの活性化を抑制している可能性が考えられる。現在は、これらの転写因子活性化の系時的変化と、それに関わる因子についての研究を行っている。
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