Research Abstract |
訪問看護ステーションおよび通所介護施設から紹介され同意の得られた要介護高齢者(以下,高齢者)(脱水既往者6名含む)23名とその主たる介護者について,夏期の水分出納および介護者の脱水予防のための飲水援助実態を調査した.対象者は,高齢者(男性12名,女性11名,平均年齢80.0±12.1歳,要介護度3〜5),介護者の続柄は配偶者13名,娘・息子4名,嫁4名,その他2名であった.計測・記入を要する水分出納調査は,訪問看護師等により介護者に理解力・判断力があり可能であると判断された21名に実施し,2名は質問紙調査のみ実施した. 高齢者の水分総摂取量は1979.8±717(食事中856.9,飲水1017.9,燃焼水100)ml,水分総排泄量1979.8±717(尿量1228.2,蒸泄量772.1)mlであった.脱水既往者6名の分析から,脱水症の原因は食事・飲水量の絶対的な摂取不足が考えられ,3名に脳血管障害後遺症に伴う嚥下障害が認められた.療養環境では,室温や衣類,掛け物等が十分に配慮されていても脱水を生じていた.脱水発症時には,主たる介護者よりも訪問看護師がその微候に気づき対応していた.介護者の知識と援助実態では,全員が高齢者の飲水援助を意識的に実施していたが,体調・気温の変化により容易に脱水に陥ることを知る者は57.1%であった.60.8%の介護者が,主治医や訪問看護師等から飲水援助の目安量・摂取方法について指導を受けていたが,脱水既往のある介護者の飲水援助目安量は,既往なしの介護者よりも有意に少なく(p<.05),高齢者が摂取した食事中水分量も少なかった(p<.01).介護者への保健指導方法・内容を再検討する必要性が示唆された. 以上,次年度は,さらにデータを補完し,脱水既往の有無に着目しながら,脱水予防のための保健指導の指針を検討していく予定である.
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