2002 Fiscal Year Annual Research Report
核融合炉材料中の照射誘起ナノスケール欠陥クラスターのよる硬化挙動の微視的評価
Project/Area Number |
14780390
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
笠田 竜太 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助手 (20335227)
|
Keywords | 核融合炉材料 / 低放射化フェライト鋼 / 照射硬化 / 透過型電子顕微鏡 / 引張その場観察 / 転位 |
Research Abstract |
平成14年度は,主に試料作製,照射試験および照射後材料特性の評価と,TEM内引張その場観察システムの開発を行った.以下に詳細を述べる. 1.【試料作製】核融合炉構造材料候補材である低放射化フェライト鋼のモデル合金として,純Fe, Fe-9Cr合金,Fe-9Cr-1Ni合金を作製した. 2.【高エネルギー粒子線照射試験】本研究所に設置されたDuETを用いて,1の試験片に対しFeとHeの二重イオンビーム照射を行った.また当初計画に加えて,TEM内引張試験法の確立のために,観察領域の設定が容易であり,イオン照射と比較してより単純な損傷組織を与えられる電子線照射試験を行った. 3.【照射後組織・微小硬度評価】2において照射した試料を用いてTEM内引張試験を行う前に,損傷組織を評価する必要がある。そこで,陽電子寿命測定と通常のTEM観察により,照射によって形成した微小空孔集合体と格子間原子型転位ループの形態・数密度を評価した.更に,転位-欠陥相互作用とマクロ機械特性を関連付けるために,微小硬度測定を行った.これらの試験結果より,ある照射条件のもとでは純Fe中の照射硬化の主要因子が転位ループであるということが予測された.次年度の計画では,TEM内引張その場観察試験を行うことによって,実際に転位ループが運動転位とどの程度の相互作用を持つのかを直接評価する. 4.【TEM内引張その場観察試験システムの開発】本研究所のTEMに付置されたHi-Visionカメラシステムは,本研究計画の遂行に不可欠な動画録画機能を持っていないため,システムの改造を行った.予備実験の結果,TEM内引張その場観察において必要な解像度を得ることが可能となった.また,FIBによる加工を行った試料のTEM内引張その場観察が可能な試料作製プロセスを確立した.
|