2002 Fiscal Year Annual Research Report
海洋の炭素貯蔵における『海洋深層水』中の有機化合物と微生物代謝の役割
Project/Area Number |
14780410
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
宗林 留美 (福田 留美) 静岡大学, 理学部, 助手 (00343195)
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Keywords | 海洋 / 有機物 / 生元素循環 |
Research Abstract |
海洋の溶存有機炭素(DOC)は,大気中の二酸化炭素に匹敵する量の炭素量を有する,地球上で屈指の巨大炭素プールの一つである.従って,その動態を把握することは,海洋のみ存らず全球規模で炭素循環を理解する上で重要である.DOCのフラックスに関する研究,特にDOCの消費速度に関する研究は90年代以降進展を見せているが,DOCのキャラクタリゼーションに関する知見は依然として乏しいのが現状である.DOCの定性分析に関する近年の報告によると,中性糖,アミノ酸,アミノ糖,脂質の4種でDOCの1〜10%が説明されているが,.残りについては構成成分が明らかになっていない).DOCの定性分析は,近年,核磁気共鳴(NMR)法が主流となっているが、核酸については,海洋のDOCのNMR解析で検出されたという報告がなく、分析化学の分野では既存の手法を用いたNMR解析では核酸を正確に定量することが困難であることが2002年に指摘されている。 そこで,本研究では海水中の溶存態核酸の測定方法を確立するために、新しい蛍光試薬(OliGreen ssDNA Quantitation Rragent)を用いた測定法を検討した.これまでにOliGreenはウィルスの定量や,合成した小胞体の性能に関する研究に用いられてきたが,海水中の核酸の検出に利用された例はない.現在までの成果で、微軍(0.1μg/l)レベルで検出,定量が可能となり、タンパク質などの影響を受けないことが確認できたので、今後、測定精度をより高めて海洋"深層水"中の有機物のキャラクタリゼーションに活用する予定である。
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