2002 Fiscal Year Annual Research Report
石油分解菌の選択的活性化を利用した新規バイオリメディエーション法の開発
Project/Area Number |
14780449
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
岩淵 範之 日本大学, 生物資源科学部, 助手 (90328708)
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Keywords | バイオリメディエーション / Rhodococcus / 細胞外多糖 / 微生物の吸着 / 石油汚染 / Cycloclasticus / コロニー形態変化 / 複合微生物系の培養制御 |
Research Abstract |
自然環境に流出した石油は、長期間に亘って残留し、周囲の環境に重大な被害をもたらす。申請者は、これまでの研究で、高濃度石油耐性菌であるRhodococcus rhodochrous S-2株の細胞外多糖(S-2 EPS)が、石油耐性に深く関与することを明らかにした。S-2 EPSは、石油の可溶化ならびに石油感受性株対する保護効果などを示すことから、本年度は、EPSを模擬石油汚染海洋環境に投与し、海洋細菌の石油分解活性に対する影響を検討した。さらに、石油粒子と微生物との相互作用を検討するため、S-2 EPSが微生物の炭化水素や各種界面の吸着に与える影響をRhodococcus属細菌のコロニー形態変異株を使って検討した。 1.S-2 EPSの石油分解への影響 アラビアンライト原油の芳香族画分を炭素源とし、天然海水に無機栄養素を加えた培養系を作製し、S-2 EPSの石油分解に対する影響を検討した。その結果、S-2 EPSの投与により、海水の微生物コンソーシアで特定の石油分解菌が選択的に活性化され、残留画分の主成分となっている多環芳香族炭化水素の分解が促進された。このことから、S-2 EPSがバイオリメディエーションに有効な物質であると考えられた(Iwabuchi et al. Appl.Environ.Microbiol.2002,68(5):2337-43.)。 2.S-2 EPSの微生物の吸着への影響 Rhodococcus属細菌のEPSの生産性と細胞表面疎水性の関連について検討を加えた結果、EPS量の上昇がRhodococcus属細菌の細胞表面疎水性を減少させ、結果的に炭化水素への吸着を阻害することを明らかにした(Iwabuchi et al.Colloid Surf.B : Biointerfaces in press)。
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Research Products
(1 results)