2002 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュ胚発現系を用いた軸索誘導制御機構の解析
Project/Area Number |
14780569
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 尚人 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40313100)
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Keywords | ゼブラフィッシュ / 軸索誘導 / Aキナーゼ / 嗅神経 / 視神経 / Glycogen synthase klnase-3β |
Research Abstract |
シナプスは軸索誘導、シナプス前部・後部の接触、成熟を経て形成される。この分子機構を明らかにするために、ゼブラフィッシュ卵で神経特異的プロモーター下に蛍光蛋白と機能分子を同一細胞で発現させるダブルカセットベクター法を開発した。この独自の系を用いて、嗅覚神経軸索誘導におけるAキナーゼ(PKA)の役割を解析した。嗅神経細胞特異的なolfactory marker protein遺伝子プロモーター下に、微小管結合蛋白tauとGFPの融合蛋白と優性変異型PKAを発現させた。恒常活性型による機能亢進は、嗅球内で軸索が迷走したのに対して、ドミナントネガティブ変異体による機能抑制は、嗅上皮内で迷走し、一部の軸索を嗅上皮嗅球境界部を越えて嗅球側へ伸長することができなかった。誘引因子に対して反応性を持ちながら嗅上皮内を伸長する嗅神経軸索が、嗅上皮嗅球境界部を通過する際に誘引因子に対して反応性を失うためには、軸索内PKAシグナルの抑制が必要であることを明らかにした。次に、軸索分枝の広がりとシナプス前部の成熟にglycogen synthase kinase-3β(GSK-3β)が果たす役割を、ニコチン性アセチルコリン受容体β3サブユニット遺伝子プロモーターを用いて視神経軸索で解析した。GSK-3βドミナントネガティブ変異体を発現させた軸索では、軸索分枝の発達が対照群と比較して発生のより早い時期に停止した。また、シナプス小胞蛋白vesicle-associated membrane protein(VAMP2/synaptobrevin)とGFPの融合蛋白の集積度を検討したところ、軸索終末の成熟が促進していた。標的細胞からの分泌性シグナルを受容したシナプス前部でGSK-3βの活性が抑制され、シナプス形成準備状態にする分子機構を明らかにした。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hirofumi Tokuoka: "Regulation by GSK-3β of the arborization field and maturation of retinotectal projection in zebrafish"The Journal of Neuroscience. 22・23. 10324-10332 (2002)
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[Publications] Tomoyuki Yoshida: "Regulation by protein kinase A switching of axonal pathfinding of zebrafish olfactory sensory neurons through the olfactory placode-olfactory bulb boundary"The Journal of Neuroscience. 22・12. 4964-4972 (2002)