2002 Fiscal Year Annual Research Report
部位・時期特異的ノックアウト法を用いた小脳運動学習の分子機構の解明
Project/Area Number |
14780597
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹内 倫徳 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (50323613)
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Keywords | グルタミン酸受容体δ2サブユニット / 小脳 / プルキニエ細胞 / 部位時期特異的遺伝子ノックアウト法 / 運動学習 / シナプス形成 / シナプス可塑性 |
Research Abstract |
本研究では、部位・時期特異的遺伝子ノックアウト法を用いGIuRδ2サブユニットを成体でのみ欠失させ、小脳シナプス可塑性が運動学習の細胞機構であるという仮説の検証を行う。GluRδ2サブユニットを成体小脳プルキニエ細胞でのみ欠失させるためには3種類のマウス((1)CrePR^*融合蛋白発現マウス、(2)組換え酵素FLP発現マウス、(3)GluRδ2遺伝子にloxP配列を組み込んだターゲットマウス)の作製が必要である。平成14年度はこれら3種類のマウスを交配させ、合成ホルモンRU486の投与によりGluRδ2サブユニットを成体プルキニエ細胞で欠失させることが出来るマウスの作製を行った。 まず、ターゲットマウス(fGluRδ2;neo)マウスとFLP発現マウスを交配させ、ゲノム上のNeo耐性遺伝子の除去を行なった。 次に、Neo耐性遺伝子を取り除いたターゲットマウス(fGluRδ2)マウスとプルキニエ細胞特異的にCrePRを発現するD2CPRマウスを交配させ、その子孫マウスより、fGluRδ2遺伝子とD2CPR遺伝子の両方をもつ変異マウス(fGluRδ2/D2CPR)を作成した。 生後6週令のfGluRδ2/D2CPRマウスの腹腔に、体重1gあたり1mgのRU486の投与を2日間連続で行い、GluRδ2蛋白の消失が見られるかどうかをウエスタン法により解析した。その結果、薬剤投与後9週のマウス小脳においてGluRδ2蛋白が投与前と比較して40%にまで減少していた。また、薬剤投与後9週のマウス小脳切片を用いたGluRδ2抗体染色により、GluRδ2タンパク質が完全に消失したプルキニエ細胞が存在していることが明らかとなった。我々は成体小脳においてプルキニエ細胞特異的にかつ時期特異的にGluRδ2蛋白質の欠失を引き起こせるマウスの作製に成功した。
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Research Products
(1 results)