2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14F04747
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石原 孝二 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (30291991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JENSEN Rasmus 東京大学, 総合文化研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 他者知覚 / 直接説 / 選言説 / 現象学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、最近の知覚の哲学や行為の哲学による成果を統合しながら、他者知覚に関するシミュレーション説および理論説を批判して直接知覚説を擁護することを目的としている。さらに、非概念主義的直接知覚説についても批判的に検討し、概念主義的な直接知覚説の立場を発展させることを目指すものである。26年度は非推論的な知覚的知識について論じた論文を執筆し投稿したほか、「生きられた身体」と「誤同定による誤りに対する免疫」との関係に関する口頭発表“The lived body and immunity to error through misidentification”を行った。本発表では、「誤同定による誤りに対する免疫」に関するギャラガーの議論が自己の四肢の位置に関する非推論的な知識を根拠づけることができないことを指摘するとともに、知覚に関する選言説的な見方を採用することによって、自己の四肢に関する非推論的な知識を根拠づけ得ることを示すことを試みた。26年度はこうした論文執筆・口頭発表を行う一方で、日本国内の現象学研究者とのネットワークの構築のために、日本の研究者とともに研究会(Phenomenology and Contemporary Philosophy Circle (PCPC))を組織したり、海外の現象学研究者を日本に招へいする計画を進めたりしてきた。今後はこうした研究ネットワークを基盤として、他者知覚に関する直接知覚説の確立と展開をはかっていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
公刊された論文等はなかったが、26年度の研究期間が11月から3月までであったことを考えると、論文の執筆を進めるなど、着実に研究は進展していると言える。また、日本人の研究者とともに、Phenomenology and Contemporary Philosophy Circle (PCPC)を組織したり、海外の研究者を日本へ招へいする計画を立てるなど、研究ネットワークの構築も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、平成26年度の成果を踏まえて、直接知覚説と心身問題の関係について考察を進める。特に身体運動に関する選言説(身体運動は内的な行為者性を有するものか、単なる動きであるかのいずれかであるという説)を検討しながら、身体運動に関する選言説が心的内容と身体運動との間に因果的関係を認める考えと両立可能であるものであることを示すことを試みる。また、身体的な自己意識の病理的な障害に関するS.Gallagherの説を、直接知覚説との関係において検討し直す。こうした研究の成果を論文等としてまとめるとともに、研究ネットワークの強化もはかる。
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Research Products
(1 results)