2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J00462
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
八尾 惇 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | MEMS / 非線形 / 共振器 / 制御 / ロジック / メモリ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、非線形MEMS (micro electro mechanical systems)共振器を用いた演算形メモリの基盤技術創出を目指している。得られた具体的な成果としては、(1)演算形メモリの実現、(2)リプログラム可能な演算形メモリの実現、(3)演算形メモリの高速動作に向けた周波数変換器のための基礎的知見、の3点である。 (1)に関しては、まず、非線形MEMS共振器を用いた変位フィードバック系を構成し、共振器の各初期振動の振幅の初期状態に依存せず同じ振幅を保つ領域が存在することを、数値計算により明らかにした。次に、制御入力を切った際に非線形MEMS共振器は出力を保持することを示した。これに基づき、非線形MEMS 共振器によりORゲート機能を有するメモリが実現可能であることを、数値計算及び実験的に示した。 (2)に関しては、非線形MEMS 共振器を用いたリプログラム可能な演算形メモリの原理検証を数値計算及び実験により行った。まず、駆動振幅を変更することにより、MEMS 共振器の出力結果が変化することを数値計算により示した。結果として、MEMS 共振器はAND ゲート機能を有するメモリとして動作可能であることが明らかとなった。この結果より、 非線形MEMS共振器を用いたAND/OR ゲートのリプログラム機能を有する演算形メモリを数値計算及び実験により実現した。 (3)に関しては、理論的検討により、非線形MEMS共振器に高調波及び分数調波が生じることを示した。また、生じる高調波成分が共振器の非線形性に強く依存することも示した。数値計算により、非線形MEMS共振器の高調波成分が、別の非線形MEMS共振器に寄与し、振動が生じることを示した。すなわち、MEMSデバイスを用いた周波数逓倍器の数値的検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、非線形MEMS (micro electro mechanical systems)共振器を用いた演算形メモリの基盤技術創出を目指し、以下の3つの成果を得た。(1)非線形MEMS 共振器によりORゲート機能を有するメモリが実現可能であることを、数値計算及び実験的に示し、Applied Physics Lettersに採録された。(2)非線形MEMS共振器を用いたAND/OR ゲートのリプログラム機能を有する演算形メモリを数値計算及び実験により実現した。(3)スウェーデン王立工科大学との共同研究を行い、MEMSデバイスを用いた周波数逓倍器の数値的検証を行った。これらの結果はほぼ当初研究計画通りに進んでいるためである。
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Strategy for Future Research Activity |
非線形MEMS共振器を用いた演算形メモリの高速化を検討していく予定である。その際、高速化のため、カンチレバーの使用が役立つと考え、その点についても研究を進めていく予定である。
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Research Products
(3 results)