2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J00488
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村松 明穂 京都大学, 霊長類研究所, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | チンパンジー / 数の概念 / 序数 / 基数 / 位取り記数法 / 十進法 / 数系列課題 / 見本合わせ課題 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの言語の進化的基盤を探る手掛かりとして,チンパンジーにおける数の概念の学習と利用に焦点をあてて研究をおこなっている。具体的には,コンピューター課題として a) 十進法での十の位と一の位のルールの学習,b) 物体の個数とアラビア数字の対応関係の学習,c) 桁上がりをふくむ加法の課題をおこない,学習の進み方や安定後のパフォーマンスの分析をおこなう。これらの課題は,アラビア数字の系列を10以上に延長し,桁上がりをふくむ数系列を利用することによって,チンパンジーにおける数の概念の学習について明らかにすることを目的としている。 平成26年度は,とくに a) 十進法での十の位と一の位のルールの学習,b) 物体の個数とアラビア数字の対応関係の学習に関する実験・分析をおこない,これらの結果について発表した。 a) 十進法での十の位と一の位のルールの学習では,チンパンジーが数系列1から19の知識を獲得したことが認められ,0から19の学習を開始した。b) 物体の個数とアラビア数字の対応関係の学習では,まずドットの個数とドットの個数の見本合わせ課題から開始し,基数の課題であるドットの個数とアラビア数字の見本合わせ課題に進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
a) 十進法での十の位と一の位のルールの学習では,すでにアラビア数字1から9の順序を学習済みのチンパンジー6個体に対し,数系列を19まで延長することを試みた。結果,6個体すべてにおいて,数系列1から19の知識を獲得したことが認められた。次の学習段階として,序数の学習に「0」を導入した。各個体とも,0をふくめた数系列0から19の学習を順調に進めている。 b) 物体の個数とアラビア数字の対応関係の学習では,最終的に基数の課題における十進法のルール学習や利用について明らかにすることを目的としている。しかし,研究対象の個体は,うち1個体を除いて,基数の学習に取り組んだ経験がない。そこで,平成26年度は,先行研究を参考にしながら,ドットの個数とドットの個数の見本合わせ課題をおこなった。1個から9個のドットの個数の見本合わせにおいて成績のよかった個体から,順次,基数の学習を開始している。 以上が,平成26年度の研究実施状況であり,申請書に示した予定の通りの進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,チンパンジーの対象個体において,a) 十進法での十の位と一の位のルールの学習では,数系列1から19の知識の獲得が認められ,0をふくめた数系列0から19の学習を順調に進めている。b) 物体の個数とアラビア数字の対応関係の学習では,ドットの個数とドットの個数の見本合わせ課題から開始し,成績に応じて,ドットの個数とアラビア数字の見本合わせ課題に移行しつつある。 以上を踏まえて,平成27年度には,a) 十進法での十の位と一の位のルールの学習では,序数の学習における般化テストを実施し,数系列0から19の学習過程において,チンパンジーたちが十進法のルールを理解・学習できたのか確認する。また,b) 物体の個数とアラビア数字の対応関係の学習では,基数の学習を進め,1個から9個のドットと1から9のアラビア数字の見本合わせ課題における学習の進捗について分析をおこなう。
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