2015 Fiscal Year Annual Research Report
中国における日本サブカルチャーの受容の現象学的研究
Project/Area Number |
14J01053
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
湯 天軼 大阪大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 日本サブカルチャー / 異文化交流 / 文化人類学 / 現象学 / フィールドワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
1、既収集資料の分析:日本アニメ字幕組の翻訳形態を考察するために、2003年2005年に中国で作られ販売されたと思われる日本アニメ映像DVDおよび2002年2013年に中国人愛好者に翻訳され、ネットで配信された日本アニメの影像データの分析を全面的に行った。また、中国における「恋声」(いわゆる声優萌え)の現象を考察するために、2000年代において日本サブカルチャーが中国で紹介されたメディアを調査し、中国国内有数の日本アニメ情報系雑誌『動感新勢力』と『動画基地』の20052008年の全月刊号および日本サブカルチャー評論誌『二次元狂熱』の2013年度の全月刊号において声優関連の記事を探して分析を行った。 2、資料収集と現地調査:前年度に続き、日本アニメ字幕組の翻訳を考察するために、2008年2013年の間にネットで流通している、または中国人愛好者に私的に保存された中国語字幕付き日本アニメのデータを収集した。2015年7、8月に、中国で開催された日本サブカルチャー関連のイベント「成都百合Only2015」(成都市)および「琴川漫文化交流展12」(常熟市)に赴き、2016年2月に上海市で開催の「魔都境界漫 02」および「OTL御宅之萌漫展」に参加し、映像記録を取り、中国人によるキャラクターグッズなどを収集し、中国人オリジナル同人誌における翻訳や日本語の使用状況を調査するために、代表的と思われる同人誌を一部収集した。成都市、吉林市、長春市などの都市で日本サブカルチャー同人商品の受容に関するフィールドワークを行った。 3、研究発表:2015年4月に香港大学で開催されたグローバル・クリエイティブ・インダストリーズ研究会で、8月に国際日本学研究会大会で口頭発表を行い、中国の学術誌に論文2本を投稿した。2016年4月にまた日本の学術誌に論文2本を投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1、中国人愛好者に再生産された日本アニメの映像データ、それに関連する雑誌や同人誌などの収集と分析はほぼ完了した。 2、中国現地でのフィールドワークはおおむね順調で、関連イベントの写真記録、愛好者のインタビューなどの一次資料が蓄積してきている。 3、現象学の理論研究を深めるにつれ、上記の一次資料を読みほどくための理論的新発見がいくつかある。 4、前年度に論文発表がやや遅れたが、現在執筆完了の論文が投稿できる状態にあり、近日中投稿する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
フィールドワークに関しては、一方で、引き続き中国現地で日本サブカルチャー愛好者グループのメンバーにインタビューを行い、言説を集めて分析する。具体的に、広東省または雲南省、福建省で開催されるイベントに赴き、調査する。他方では、日本の声優による声の演出をより深く理解するために、アニメ制作会社または声優養成機関、専門学校に赴き、声優(可能であれば)や音響監督などの現場の人間から話を聞く。 理論研究に関しては、今まで構築してきた、受容者の日本サブカルチャーに対する視覚体験、聴覚体験、愛情の生成にかかわる理論をまとめ、受容者がいかにその趣味愛好の世界を見出し、そしてそこを生きるかの全体像を言語化していく。 研究発表に関しては、国際日本学研究会、コンテンツ文化史学会、カルチュラル・スタディーズ学会などの学会誌、また香港大学のアジア研究論文集への投稿を予定している。
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Research Products
(2 results)