2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J01134
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宋 智勲 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 好中球 / マクロファージ / エキソサイトーシス / 消化酵素 / 好中球エラスターゼ / 炎症性サイトカイン / 慢性炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体が異物から身を守るため、貪食細胞による異物の貪食と処理は重要である。貪食された異物は消化酵素を含むファゴリソソーム内で分解され、ファゴリソソームと細胞膜の融合により開口放出される。この融合の破綻は、抗原提示能低下や残渣蓄積による細胞の異常活性化を惹起する。この融合を担う因子として、Myoferlinを同定し、細胞株を用いた実験により、開口放出に関与することを以前報告した。そこで、生体でも同じ役割を担うのかを調べるため、Myoferlinノックアウトマウス(KO)を作製し、その骨髄由来マクロファージ(BMDM)を用いて、細菌残渣の放出をFlow cytometryで調べた。すると、野生型(WT)よりKOの方が残渣蓄積が多かった。この蓄積が細胞を強く刺激する可能性を調べると、細菌貪食後の炎症性サイトカイン発現量はKOの方が高かった。また、大腸菌投与後の腹腔内細胞のサイトカイン産生量もKOの方が高かった。このことが生体に与える影響を調べると、WTの方が大腸菌投与後の生存率が低かった。従って、WTでは、何らかの有害物質が多く放出されていると考えた。そこで、腹腔内リソソーム消化酵素量を調べると、WTの方が多かった。従って、WTで生存率が低い原因として、消化酵素放出量が多いことで周囲の組織や細胞が強く傷つくためと考えた。ただし、投与1日以内の腹腔内細胞の多くは好中球なので、好中球によるNeutrophil Extracellular Trap (NET)の放出も生存に影響を及ぼすと考えられた。そこで、NET形成効率を調べると、WTの方が高かった。従って、NET放出も生存に影響を与え、その仕組みにもMyoferlinが関与する可能性が示された。以上の結果から、Myoferlinは開口放出のための膜融合機構に重要であり、その適切な制御が生体内恒常性維持に大きく関与することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
私は、マクロファージや好中球によるリソソーム開口放出の分子機構を同定し、その機構によって、自然免疫系による炎症応答が制御されていることを見出した。またこれらの細胞は過剰に活性化すると細胞傷害性を引き起こすが、この分子機構が細胞傷害性を制御していることを明らかにしたため、計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、Myoferlinが膜融合を制御する仕組みを解明するため、C2ドメイン分子の機能促進を担うCa2+に着目し、細胞内小胞上のどのCa2+チャネルがXの機能促進に働くのかを調べたい。また、組織や細胞を実際に傷害する消化酵素は何か、そしてNET形成にXが関わる仕組みにも取り組みたい。
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Research Products
(2 results)