2014 Fiscal Year Annual Research Report
南スーダンにおけるキリスト教信仰覚醒運動:人々の内戦、移住の経験とグローバル化
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14J01493
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
飛内 悠子 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 南スーダン / キリスト教信仰覚醒運動 / ウガンダ / 移動 / グローバル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年4月-7月まではこれまでの調査の整理と口頭発表を行った。また、前年度から準備をして来ていたキリスト教信仰覚醒運動に関する論文を公刊した。 8月から9月まではウガンダ北部において調査を行った。まず、北部ウガンダの中心都市グルではこれまで詳細が不明であったウガンダ北部におけるキリスト教信仰覚醒運動、特に東アフリカ信仰覚醒運動がウガンダ南部から伝わった過程、それが「選ばれた信仰覚醒者」というグループとしてまとまり、既存教会と対立し、そして分裂していった過程についての情報を得ることが出来た。次に南スーダン難民が多く住むアジュマニ、モヨで調査を行い、運動の展開とその現状に関する情報を入手した。カトリック教徒が多いアジュマニ、モヨではウガンダ国教会がその主な舞台となっていた東アフリカ信仰覚醒運動の影響は微々たるものであったが、南スーダン難民との協働によってその活動を拡大させていたことや、南スーダン難民の帰還によって活動の縮小を余儀なくされたものの、東アフリカ信仰覚醒運動とは別のルートで信仰覚醒をした若者たちが、モヨで東アフリカ信仰覚醒運動が行われた記憶を用い、信仰の強化を図ろうとする現状などが見えた。 10月はスーダン共和国の首都ハルツームにおいて調査を行った。ここでは南スーダン独立後もハルツームに残った南スーダン出身者たちの宗教実践についての情報を得ることが出来た。また、一定数の東アフリカ信仰覚醒運動のメンバーがハルツームに残っていることも確認できた。 帰国後、調査結果の整理を行い、ハルツームでの調査分に関しては以前の調査成果も合わせ、上智大学発行のワーキング・ペーパーとして3月に出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2013年末に勃発した南スーダンにおける紛争によって、当初の計画の変更を余儀なくされたものの、南スーダンのキリスト教信仰覚醒運動の源流ともなる北部ウガンダのキリスト教信仰覚醒運動の歴史と現状について明らかにすることができ、且つ、北部スーダンに一定数の信仰覚醒者が残留しており、その歴史を継続させようとしていることなどをも明らかにすることが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
南スーダンでの紛争の経過次第ということになるが、現状では南スーダンに入ることが難しいため、北部ウガンダと北スーダンにおいて、信仰覚醒運動の現況について、変わりゆく現地の状況と照らし合わせながら解明して行くつもりである。 具体的にはこれまでの調査成果を整理した上で、2015年の夏には北部ウガンダで、そして2015年の冬には北スーダンでのフィールド調査を行う。
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