2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J02269
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
池上 大祐 神戸大学, システム情報学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 数理論理学 / 集合論 / HOD 予想 / ブール値高階論理 / Ω論理 / 巨大基数公理 / 記述集合論 / 内部モデル理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、高階のブール値論理やΩ論理を用いて得られる集合論のモデルについて研究した。集合論のモデルで最も基本的なものであるゲーデルの L の構成では一階述語論理を用いるが、本研究では、一階述語論理の代わりに高階のブール値論理やΩ論理を適用することにより、いくつかの新しい集合論のモデルを構成し、それらのモデルたちの関係と、同モデルたちの基本的な性質について成果を得た。
具体的には、ZFC に、適切な巨大基数公理とΩ論理についての仮定を加えた公理系の下で、1) 三階以上のブール値高階論理やΩ論理によって得られる集合論のモデルたちが全て等しくなること、2) これらのモデルが強制法で不変であること(つまり、集合全体のクラス V とその任意の強制拡大のどこで構成しても不変であること)、3) これらのモデルに属する実数全体が、現在の記述集合論で分析が可能な実数全体(つまり、“\Delta 2 1 (uB) in a countable ordinal”な実数全体)と一致すること、4) これらのモデルが、現在の記述集合論で分析が可能な(つまり、“\Delta 2 1(uB) な”)普遍ベール集合全てについて閉じていること、5) これらのモデルにおいて、一般連続体仮説が成り立つこと、を証明した。
本研究の目標は HOD 予想の解決であり、そのために、集合論のモデル HOD に“近く”、HOD より分析しやすい新しい集合論のモデルを構成することが本研究の課題の一つである。今年度の研究では、記述集合論・内部モデル理論の意味で HOD に“近く”、HOD より分析しやすいモデルが構成できた。このモデルが、どのくらい HOD に“近く”、どのくらい分析できるかは、来年度以降の研究課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、ゲーデルの L の構成を高階のブール値論理やΩ論理に適用することで、記述集合論・内部モデル理論の意味で HOD に“近く”、HOD より分析しやすい集合論のモデルが構成でき、HOD 予想の解決への足掛かりとすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今年度に得られた集合論のモデル M をさらに分析し、モデル M と集合全体のクラス V との関係をより明らかにしていく。具体的には、1) M の階層でどのくらいの condensation property が得られるか、2) M でどのくらいの square principle が成り立つか、3) M にどのくらい強い巨大基数が存在しうるか、4) M と V の間でどのくらい weak covering property が成り立つか、ということについて調べる。
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Research Products
(6 results)