2014 Fiscal Year Annual Research Report
マルチレベルアプローチによる集合的効力感の概念特性に関する再考
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14J02369
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
内田 遼介 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 集合的効力感 / スポーツ集団 |
Outline of Annual Research Achievements |
集合的効力感は“あるレベルに到達するため必要な一連の行動を体系化し,実行する統合的な能力に関する集団で共有された信念”と定義され,操作的に集団内平均値と集団内分散によって表される(Bandura, 1997)。本年度は集合的効力感の概念特性を明らかにするための研究を2件実施した。研究1では集合的効力感の集団内分散の予測力について検討した。集合的効力感の集団内分散は集団内平均値と同程度に意義がある(Zaccaro et al., 2005)にも関わらず,専ら集団内平均値に着目して集団効果性との関連性が検討されてきた。そこで,研究1では集合的効力感の集団内分散が集団効果性に対して予測力を有するのかについて検討した。その結果,集合的効力感の集団内分散は集団内平均値の予測力を超えて集団効果性の1つである集団凝集性を予測した。この結果は,集合的効力感の集団内分散が集団効果性を予測するうえで重要な指標になり得ることを示唆するものであった。研究2ではスポーツ集団内における集合的効力感の形成過程について検討した。先行研究では集合的効力感の集団内平均値は過去経験(試合の勝敗)と密接に関連することが報告されている(e.g., Feltz & Lirgg, 1998)。しかし,過去経験が集合的効力感の集団内平均値を構成する成員1人1人の集合的効力感に対して等しく影響するとは考えにくい。そこで,研究2では各成員が過去経験を経た後にどのように集合的効力感を評価しているのか実験的に検討した。その結果,課題遂行能力という点で優位にある成員は集合的効力感を評価する際に自己の貢献可能性を手がかりに評価していた。その一方で,劣位にある成員は他者の貢献可能性を手がかりに評価していた。そして,これら2つの形成過程は集合的努力モデル(Karau & Williams, 1993)によって説明可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は研究1だけの予定であったが,概ね予測通りの結果が得られたことから研究2の実験室実験に着手することが出来た。したがって,当初の研究計画に則って順調に進展しているといえる。ただし,研究1の分析結果を26年度中に発表できなかったため,論文に集約する作業はやや遅れている。また,研究2に関しても追加で検討すべき点があるため,引き続き実験結果を補完するための質問紙調査や実験室実験を実施する予定である。ただし,研究2に関しては当初の予定よりも早く進んでいるため27年度中には論文にまで集約できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2では集合的効力感を評価する際に異なった2つの形成過程を経ることを明らかにした。しかし,この実験結果のみで2つの形成過程を主張するにはやや根拠に欠ける。したがって,この結果の妥当性を確認するための追加の検討が必要であると考えている。特に,研究2の知見は実験室実験の結果に基づいているため生態学的妥当性という点でやや劣る。今後研究2で確かめられた2つの形成過程が実際のスポーツ集団においても確認されるのかに関して,フィールドでの検討や実験室での検討を積み重ねる必要があると考えている。
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Research Products
(1 results)