2015 Fiscal Year Annual Research Report
現代的なコミュニケーションにおける笑いと障がい者表象のポリティクス
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14J02776
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
塙 幸枝 国際基督教大学, 教養学部, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 笑い / 障害 / 表象 / コミュニケーション / メディア |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度には、本研究の最終目標(障害者のコミュニケーションにおいて笑いが果たしうる役割を明らかにすること)を達成するために必要な要素のうち、笑いの問題(現代的なコミュニケーションにおいて笑いがどのような役割や機能をもつのか)に着眼することを目的として研究を進めてきた。昨今のバラエティ番組をはじめとしたメディアにおける笑いの表象を分析対象とし、それらが人々のコミュニケーションに与える影響や、現代社会における笑いの位置付けについて理論的な検討を行なった。 具体的には、主にテレビメディアにおいて展開されるお笑いのジャンルに着目し、それをとりまく(1)障害者による笑いの受容、および(2)障害者による笑いの発信の二つの側面について考察をおこなった。これら二つの側面は笑いという活動をめぐる両極に位置するものでありながら、そのプロセスを精査していくと、そこには共通の問題――「障害者」と「健常者」の関係における非対称性が笑いという文化的な活動にも介在している、あるいは「健常者」中心の社会的な制度や枠組みが笑いを含む障害者の文化的な活動を制限しうるという問題――が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の年度計画に従い研究を進めることができた。また、その成果発表の機会を定期的に設けることで、継続的な進展と、各段階における研究状況の確認・整理が可能となった。具体的には、2回の研究発表(日本コミュニケーション学会、障害学会)、3本の論文投稿(『日本コミュニケーション研究』『年報カルチュラル・スタディーズ』)に加え、書籍における担当章の執筆(『よくわかるヘルス・コミュニケーション』『理論で読むメディア文化』『ショッピングモールと地域──地域社会と現代文化』、いずれも2016年刊行予定)も行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終的な目標は、①現代社会における障害者ステレオタイプがどのようなものであり、そこにはどのような問題点があるのか、②現代的なコミュニケーションにおいて笑いがどのような役割や機能をもつのかという二点を明らかにしたうえで、障害者のコミュニケーションにおいて笑いが果たしうる役割を論じることにある。 最終年度は、これまでの研究で得られた成果を踏まえ、障害者による笑いを用いたパフォーマンスやコミュニケーションの実態を調査し、そこでの笑いの役割や社会的な機能について考察を行なう。具体的な研究方法としては、文献調査に加え、障害者と笑いを扱ったメディア表象(テレビ番組や映画等)の分析、さらに障害者と笑いにかかわる活動に携わる人々へのインタビュー等も予定している。 上記の研究成果の詳細は、最終的に博士論文にまとめる。その研究過程を整理する過程において、学会発表(コミュニケーション学会)や学会誌(『日本コミュニケーション研究』)への投稿も引き続き行なう。
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Research Products
(5 results)