2014 Fiscal Year Annual Research Report
高頻度ゲノム変異がもたらす歯周病原細菌の病原性変換メカニズム
Project/Area Number |
14J02840
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
渡辺 孝康 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 口腔細菌学 / 歯周病原細菌 / ゲノム解析 / CRISPR |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) P. gingivalis およびP. gulaeの比較ゲノム解析: P. gingivalisと近縁なイヌ歯周病原細菌P. gulae 20株について、高速シーケンサーIllumina MiSeqを用いてドラフトゲノム配列を決定した。以前取得したP. gingivalis 51株のドラフトゲノム配列、および入手可能なPorphyromonas属のゲノム配列と併せて、全株が共通に保有するタンパク質コード領域を同定した。その中の14個は、領域内部での組換えが生じていないと判断され、1つのゲノムにつき単コピーであったため、株ごとに14個のアミノ酸配列を連結し、最尤法による系統樹推定を行った。系統樹では、以前に16S rRNAで報告のあったように、P. gingivalisとP. gulaeが極めて近い枝に配置され、両細菌種の系統学的近縁性が、全ゲノムレベルでのアミノ酸配列系統樹によっても示された。 (2) サルコイドーシス病変由来の皮膚にきび原因菌Propionibacterium acnesの系統学的特徴: 今回、サルコイドーシス病変由来株は系統樹上で独立したクラスターを形成する傾向にあること、および皮膚由来株には存在しない18.8-kbp領域が同株ゲノム上に存在することを示した。この領域は、転移遺伝子および一対の内向き反復配列からなる挿入配列を両端に保有しており、トランスポゾンとしてサルコイドーシス病変由来株に特有な遺伝要素を伝播している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯周病原細菌のゲノム解析を円滑に進めることを目的として、その他の環境における細菌のゲノム解析や、細菌群集を対象とした解析を行ってきて、その成果の一部は論文として発表することができた。これらの解析から得た知見が、歯周病原細菌ゲノムに対しても活かしうると考えられる。以上の状況から、研究はおおむね順調に進展しているものと評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに実施している解析内容に関しては、精査により確実な結果とすることが必要であると考えている。また、未実施の内容については、他の細菌種における解析手法の吟味によって解析フローは確立している状況のため、速やかにこれを実施することによって新規の知見が得られ、論文発表へつながるものと考えられる。
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Research Products
(8 results)
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[Book] NIH NCBI Bookshelf2015
Author(s)
Maruyama F, Watanabe T, Nakagawa I
Total Pages
in press
Publisher
Group A Streptococcus Genome.”Streptococcus pyogenes, Basic Biology to Clinical Manifestations