2014 Fiscal Year Annual Research Report
ESCRT関連因子による新規オートファジー誘導機構の解明
Project/Area Number |
14J02975
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前本 佑樹 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Keywords | autophagy / ESCRT |
Outline of Annual Research Achievements |
calpain-7発現抑制のオートファジー誘導に対する影響 酵母ツーハイブリット法によるスクリーニングにより、ESCRTタンパク質の相互作用因子として、複数のオートファジー関連因子が見つかっている。calpain-7の相互作用因子として同定されたTSC2は飢餓刺激などにより活性化され、GTPaseである Rhebの抑制を介してリン酸化酵素mTORを抑制し、オートファジーを活性化する。calpain-7ノックアウトMEF細胞を用いてオートファジーの誘導をLC3の脂質付加およびp62の減少を生化学的に観察したが、LC3の脂質修飾に顕著な差は検出されていなかった。オートファジー誘導のどの段階に関与するかを明らかにするため、ノックアウト細胞を用いてオートファジーの上流にあるシグナル伝達に関わるタンパク質のリン酸化を調べたところ、AMPKのリン酸化に影響があった。またその効果はcalpain-7の入れ戻し実験により実証できたが、どのようにオートファジーと関与するかは明らかにできていない。また飢餓刺激によってcalpain-7の活性が上昇することもなさそうである。 トランスフェクション試薬Effecteneでコートされたビーズはエンドサイトーシスにより取り込まれ、エンドソーム膜を傷害することで、膜の破れの修復のため、オートファジーを引き起こす。各種オートファジータンパク質がユビキチン依存的にビーズ周囲にリクルートされてくるが、何によって膜のユビキチン化が起きているかは明らかではなかった。ESCRTタンパク質はユビキチンタンパク質のリクルートにも関連するため、ESCRTタンパク質のビーズへのリクルートを観察したところVPS4相互作用因子のLIP5が特に強くリクルートされることが明らかになった。しかし、LIP5の発現抑制実験ではLC3やユビキチンのリクルートが顕著に減少することはなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の仮定ではESCRT因子が各種オートファジーの初期誘導に関連すると考えたが、calpain-7のノックアウト細胞を用いた解析ではオートファジー誘導の顕著な遅れは現在までのところ観察されていない。 ESCRT因子が膜障害に伴って損傷膜にリクルートされることは明らかになったが、オートファジーとそのリクルートとの関連も今の所明らかになっていない。 しかし、ESCRT因子が一部の神経変性疾患で変動しているため、細胞内のポリグルタミンの凝集の周囲に集まるオートファジー因子の挙動を観察したところ、オートファジーの初期因子がポリグルタミンの凝集の周囲にリクルートされ、その場でオートファゴソームが形成されている様子を観察することができた。これらの因子の挙動にはそれぞれ特徴があり、典型的な飢餓誘導オートファジーや、マイトファジーなどの選択的オートファジーとの違いを含めて観察したい。
|
Strategy for Future Research Activity |
細胞内のポリグルタミンの凝集の周囲に集まるオートファジー因子の挙動を観察し、ポリグルタミンの凝集の周囲でオートファゴソームが形成されている様子を観察する。 典型的なオートファジー構成要素(ATG5, ULK1, ATG14, WIPI1, DFCP1)の挙動をライブイメージングにより観察し、典型的な飢餓誘導オートファジーや、マイトファジーなどの選択的オートファジーとの違いを観察する。またこれらの因子をCRISPR/Cas9システムによって樹立したHeLaノックアウト細胞に安定発現させ、それぞれの因子の階層構造を明らかにする。 同様にこの現象へのESCRT因子の関与も観察する。
|