2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J03031
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
福田 夏希 熊本大学, 生命科学研究部, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | CML特異的一本鎖抗体 / リフォールディング / ファージディスプレイ / Sortase A / 酵素的連結法 |
Outline of Annual Research Achievements |
①AGE(終末糖化産物)構造の一つであるCML(カルボキシメチルリジン)を特異的に認識するモノクローナル抗体6D12をもとに、一本鎖抗体6D12scFv遺伝子を作製し、大腸菌発現系を用いたリフォールディング法によってタンパク調製を行った。得られた6D12scFvを用いて、ELISA、SPR解析によって結合親和性を評価した。CMLに対する結合活性は確認できたが、6D12scFvを実用化するには親和性が不十分であった。そこで、ファージディスプレイ法による結合親和性の向上が必要であると考え、6D12scFvディスプレイファージの作製を行った。我々の研究室で確立されている方法によって6D12scFvディスプレイファージを調製し、Phage ELISAを行った結果、ディスプレイファージ上に6D12scFvが提示されていることが確認できた。 ②遺伝子工学的に連結させたscFv-ストレプトアビジン(SA)融合分子を大腸菌で発現させ、リフォールディング法により調製したが、四量体の形成効率が低かった。そこで、SAよりもリフォールディング効率が高いと考えられるタマビジン(TM)に変更したが、SA同様に全てのscFv-TMに四量体を形成させることはできなかった。よって、各分子を連結させた状態でリフォールディングさせるのは困難であると判断し、Sortase Aを用いた酵素的連結法による融合分子の調製を試みた。Sortase Aの基質配列を導入したscFv、TMそれぞれを我々の研究室で確立された適切な条件下でのリフォールディングにより調製した後、Sortase Aによる連結反応を行った。蛍光標識ビオチンを用いたイムノプレートアッセイを行った結果、遺伝子工学的連結法により調製したscFv-TMに比べて、酵素的連結法により調製したscFv-TMは高感度に抗原を検出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①6D12scFvのCMLに対する結合親和性が不十分であったため、申請書に記載通りファージディスプレイ法による結合親和性の向上を試みた。ファージディスプレイ法を行うにあたり、抗原結合活性を持ったscFvを提示したディスプレイファージを調製できることが前提となる。我々の研究室では、数種類のscFvの抗原結合活性をファージディスプレイ法によって向上させることに成功しており、ディスプレイファージの調製法も確立されている。しかしながら、調製した6D12scFvディスプレイファージはCMLに対して抗原結合活性を示さなかった。そこで、ディスプレイファージを調製する際の培養温度を37℃から25℃に変えたところ、抗原結合活性を示した。この結果が得られるまでの条件検討に予想していたよりも時間がかかってしまったが、ファージディスプレイによるスクリーニングを行うまでの準備を整えることができたと考えている。 ②scFvとアビジン様タンパク質(SA、TM)の融合分子を調製するにあたり、当初から計画していた遺伝子工学的連結法では、融合分子の物理化学的評価・マウスを用いたイメージングに必要とされる量を調製するのは困難であると早期の段階で判断した。そこで、Sortase Aによる酵素的連結法を用いた結果、遺伝子工学的連結法の問題点であった融合分子の機能・物性の低下を改善することに成功した。また、最近報告された反応効率が高いSortase A変異体の利用、さらなる連結反応条件の検討などにより、融合分子の最終収量も増加できることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
①6D12scFvディスプレイファージの調製に成功したので、次にError-prone PCRによって6D12scFv遺伝子断片にランダム変異を導入し、これをライブラリーとしてスクリーニングを試みる。計画書通り、SPRバイオセンサー、等温滴定型熱量測定(ITC)、示差走査熱量測定(DSC)などの物理化学的測定法により結合親和性を評価すると同時に、高親和性を示す6D12scFv変異体の獲得を目指す。 ②Sortase Aによる連結反応では、4種類のscFv-TM融合分子(TM分子に結合しているscFvの分子数が異なるタンパク質)が得られる。scFvが4価の融合分子を大量に調製できる反応条件の検討を行う。しかし、それが困難であると判断した場合、scFvが4価の融合分子よりも抗原検出感度は劣るが、現時点において大量調製が可能なscFvが2価、1価の融合分子を用いて、融合分子の物理化学的評価を行う。また、計画書記載の通り、免疫組織染色によるモノクローナル抗体とのAGE検出感度の比較、および、融合分子の生体内における安定性評価など、生体内のAGE検出が可能な融合分子であることを確認していく。
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Research Products
(4 results)