2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J03470
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
瀬川 行太 北海道大学, 法学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 同時存在原則 / 非同時的事例 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、ドイツにおける同時存在原則をめぐる資料・文献を収集・検討し、我が国における同時存在原則をめぐる議論と対比しながら、同時存在原則の意義を考察した。我が国では、同時存在原則は、原因において自由な行為の領域でしか問題にされてこなかったという現状がある。しかし、ドイツにおいては、原因において自由な行為の領域のみならず、早すぎた結果発生、遅すぎた結果発生、違法性の意識の可能性、自招防衛、自招危難等の、様々な領域において同時存在原則が問題になることが指摘されている。そこで、同時存在原則に関する議論が豊富なドイツの文献を参照しながら、同時存在原則の意義を再考することを試みた。 ドイツの同時存在原則に関する議論を検討した結果、同時存在原則が問題になる非同時的事例では、非同時性という共通点に鑑みて、統一的な解決が図られるべきであることを主張する見解が多いことが明らかになった。これは、我が国にはない特徴といえる。なぜならば、我が国では、同時存在原則が問題になる非同時的事例では、当該事例ごとに個別的に解決されているにすぎず、非同時的事例であるという共通性は捨象されているからである。他方で、ドイツにおいて同時存在原則が問題になる非同時的事例において統一的解決を主張する見解には、論者固有の責任論に依拠した理論に基づくものが多く、妥当でない点も多いことから、我が国の同時存在原則に関する議論にそのまま転用することができないことも明らかになった。 以上で、得られた成果をもとに、我が国における同時存在原則に関する理論を再構成することを試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ドイツにおける同時存在原則に関する議論をほぼ検討することができ、他方で、我が国の同時存在原則を関する議論もほぼ検討することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度である平成27年度は、ドイツにおける同時存在原則に関する議論から得られた知見を基に、同時存在原則が問題になる非同時的事例において、本研究が妥当と考える解決策並びに同時存在原則に関する理論を精緻化する予定である。
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Research Products
(1 results)