2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J03668
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
沖坂 祥平 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 有限モデル理論 / 一般量化詞 / 定義可能性 |
Outline of Annual Research Achievements |
記述計算量理論とはPやNP等といった計算量クラスを論理で特徴づけることを目的としている。現在、多くの計算量クラスは一階述語論理に一般量化詞を加えた形の論理で特徴づけられることが知られており、これによると計算量クラスを分離することはそれらを特徴づける論理の表現力(有限順序構造上の定義可能性)を分離することと同値である。ここで、一般量化詞とは∀や∃等といった通常の量化の概念を一般化したものであり、有限構造のクラスKに対応する一般量化詞を一階述語論理に加えた論理は、Kが定義可能となる一階述語論理の最小の拡張と見なせる。本研究は、異なる一般量化詞を加えた論理の間の表現力の比較可能性、及びそれにより定義される半順序構造の性質を調べることを目的としている。 比較可能性に関して、本年度は1項関係を1つのみ含む言語のクラスを考え、さらに与えられた構造がクラスに属するか否かがその構造の濃度に依存しないような単純な状況を考えた。その場合、対応する一般量化詞はある自然数の集合Sに対し「~を満たす要素の数はSに属する」という意味になるが、このような状況に置いて、二つの自然数の集合S,Tが与えられた時、Tに対応する一般量化詞がSに対応する一般量化詞で定義可能となるための必要十分条件は、整数係数多項式によるSの逆像のブール結合によりTが得られることであることを示した。この結果により、このようなクラスに制限した場合での極小の拡張なども得られた。 一般量化詞を加えた論理がなす半順序構造の性質についても考察を行った。任意のクラスから無限上昇列が構成出来ることは自明に従うが、任意の、相対化可能なクラスから無限下降列を構成出来ることを示した。しかし、ここで構成される下降列に現れるクラスは相対化可能でなく性質の悪いものであり、相対化可能なクラスの無限下降列が構成することが今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は計画通りに1項関係のみ含み、クラスにも制限を加えた単純な状況での一般量化詞の定義可能性について、比較可能であるための必要十分条件を与えることができた。しかし、この条件は具体的なクラスに対しても適応しづらい形をしているので改良の余地は残っている。 また、半順序構造の性質についても非自明な結果を得ることができ、またそれに伴いクラスが与えられたとき、それよりも小さいクラスの構成法なども考えることができた。ただしこのクラスは比較的性質の悪いものであるので、こちらに対しても更なる改良を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究計画に記載した通り、2つのクラスの相対的な定義可能性についてさらに一般的な状況を考えて研究を進めていく。しかし、研究を続けていくうえでクラスに制限を加えないほうが論理として自然なものであるという感覚を得ているので、クラスに制限を加えたまま、言語を拡張する形で研究を進めていく。半順序構造の性質に関しても、依然明らかになっていないことが多いので、その性質の研究も続けていく。 また上で述べた通り新しいクラスの構成法を考えることができたので、今後はその構成法を改良していく事も目標としている。
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Research Products
(3 results)