2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規KRAB-ZNF タンパク質によるエピジェネティック修飾の維持伝達機構の解明
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14J03854
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大石 裕晃 九州大学, 医学系学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | ゲノムインプリンティング / CRISPR/Cas9 system |
Outline of Annual Research Achievements |
申請書の実験計画通りCRISPR/Cas9 systemの系を用いて、Zfp483およびZfp496のノックアウトマウス作成を試みた。まずターゲットとなる遺伝子のコーディング領域を標的とするようにベクターを作製した。CRISPR/Cas9のベクターを自然交配によって得られたマウス受精卵にマイクロインジェクションを行い、受精卵の移植実験を行った。その結果、Zfp483に変異をもつ産仔を得たが、一方でZfp496の変異を持つ産仔は得ることができなかった。現在、Zfp483の変異マウスのジェネティックバックグラウンドをC57BL/6由来にするために3世代の戻し交配が終了した。 上記に付随した研究を並行して行っている。近年、ES細胞においてこれまでのインプリント遺伝子と似たような発現を示す複数の単アレル性発現遺伝子が存在することが報告された。この遺伝子群は、細胞の多様性やヒト常染色体優性遺伝病に関係することが示唆され注目を集めている。そこで、野生型 ES細胞2種 (JF1 x C57BL/6JもしくはC57BL/6J x JF1のジェネティックバックグラウンドを持つ)を用いてアレルを区別したmRNA-seq解析をおこない、587個の単アレル性発現遺伝子を同定した。両方のES細胞に共通していた遺伝子は215個あり、これらの大部分の発現は、由来するマウスジェノタイプに依存的であった。さらにインプリント遺伝子の発現制御に必須のKRAB zinc figer 57 (Zfp57) の変異ES細胞を用いた解析から、単アレル性発現遺伝子の約1/3がZfp57によって制御されていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に予定していたヘテロに変異を持つES細胞を用いたノックアウトマウスの作製には失敗したが、新しいゲノム編集技術を取り入れることによって、ノックアウトマウスおよびノックアウトES細胞の作製に成功した。またそのマウスの作製期間に付随した研究として、次世代シークエンサーおよび計算サーバーを用いて単アレル性発現遺伝子の発現制御メカニズムの一端を明らかにした。今後は、Zfp483変異マウスの発生およびゲノムインプリンティングに与える影響について検討を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に作製したZfp483のノックアウトマウスの表現型を観察する。まず、Zfp483のヘテロ変異マウス同士の交配により産仔の有無を検討する。Zfp483のホモ変異マウスが致死でない場合は、そのマウスを用いて次世代の産仔が得られか検討を行う。この発生に与える影響についての検討に半年を予定している。発生に与える影響がある場合、網羅的なDNAメチル化解析のためにノックアウトマウスの精子、卵子、着床前胚のDNAを回収する。対照群として同じ発生ステージのサンプルを回収する。そのDNAを用いて少量のサンプルでDNAメチル化解析のできるPBAT法を用いて網羅的にDNAメチル化を検討する。とくにインプリント制御領域に絞って解析を行う。この実験と並行して野生型およびノックアウトマウスの精子、卵子、着床前胚のRNAを抽出し、mRNA-seq法にて網羅的に既知のインプリント遺伝子の発現解析を行う。この解析に伴ってJF1マウスを用いることによってアレルを区別した発現解析を行う予定である。
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Research Products
(5 results)